誰かに聞いた怖い話
・・・続いた凶事6
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『だが…悪い事は出来ないものだよ…伯父がその猫を捕まえている所を、誰かに見られていたらしいんだ』

『もっとも、その現場を目撃した人も伯父が猫を殺した現場を見た訳ではないし…そんな噂が流れた頃には、老夫婦はそれどころじゃあなかったらしい…息子が死んで何もする気力を無くし、会社の経営を任せた知人に会社を乗っ盗られ…あまつさえ、その知人に管理を任せていた自分の財産さえも騙し盗られて、古いあばら家に越して来たばかりだった…そんな時だったんだよ、噂が流れたのは…』



『…酷いな』



『だが、お婆さんの方はずっと覚えていたんだ、その小さな噂を…』

『心労が重なったんだろうなぁ…その後直ぐに亡くなった夫の一周忌の法要を終えた後で、ある晩私の伯父の所に乗り込んで来たんだよ』

『伯父は結局、知らぬ存ぜぬで押し通したんだ…もう既に一年以上は経っていたし…証拠を見せろと…』



『…』



『その老婆が伯父の所に来たのは、それが最初で最期だったんだ…その老婆は、数日後民生委員の手で発見される事になるんだよ…鴨居に垂らしたロープの下で、野良猫や鼠に喰い散らかされた無惨な姿で…それからだった不幸が続いたのは…』

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あきゅろす。
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