誰かに聞いた怖い話
・・・続いた凶事5
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『結局その事故で助かった人は、一番前に停まっていたトラックの運転手だけだったらしい』

『追突したトラックの運転手も、前のトラックの荷台との間に身体が挟まれて身動きが出来ない内に、トラックとトラックの間で押し潰された車から出火した火災で…』



『…』



『だから…この事故で生き残れたのは、追突されたトラックの運転手と…あの猫だけだったんだ』



『猫?』

『まさか…あの?』



『…』

おじさんは答える代わりに、小さく頷いたんだ



『あの猫は、お爺さんの息子が一人娘の誕生日に買い与えた、誕生プレゼントだったんだ…』

『その事故の時、その猫は一人娘の膝の上で丸くなっていたんだろう…いつもそうして甘えていたそうだから…そして事故の瞬間、サイドガラスが砕け散った隙間から、車が潰される僅かな時間に外に飛び出したんだろう』



『それじゃあ、その猫は…』



『そう、老夫婦にとってはお孫さんの…いいや…息子達家族の形見だったんだ…それを私の伯父が殺して、三味線の皮にしてしまったんだよ…』



『…』



『伯父はその事を誰にも喋らなかったから、その件はそのまま忘れられたかに思えたんだ』

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