誰かに聞いた怖い話
・・・続いた凶事4
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『そのお爺さんは商才豊かで、若い頃からやり手の商売人として名を知られ、幾つもの会社を経営していたんだそうだ』
『そんな彼も年老いて、一人息子に後を継がせて引退したそうなんだが…その一人息子が…』
『一人息子がどうしたんです?』
この時俺は、おじさんの話に夢中になっていたんだ…だからこの時彼奴が、どんな顔でおじさんの話を聞いていたのかはわからない…
『その日彼は自分の車の助手席に妻を、後ろの座席に娘を乗せて、両親の待つ屋敷へと車を走らせていたんだ』
『そしてその事故が起こった』
『前方の信号が青から黄色に変わり…前を走っていたトラックが減速を始め、彼も前車に併せてゆっくりとスピードを落とし、赤信号と共に停車しようとしていた時だった』
『…』
『居眠り運転だったのか、よそ見運転だったのか…トラックを運転していた若い男も、その事故で亡くなっているので詳しくはわからないが…彼の車と車間距離を取って走っていた筈のトラックが、スピードを少しも落とす事なく、彼の車へと追突したんだ』
『そしてそのままの勢いで、彼の車の後部をめちゃめちゃに壊し…車を小さく小さく押し潰してしまったんだよ…』
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