誰かに聞いた怖い話
・・・続いた凶事3
.
『そのお婆さんが住んで居た家は、知らない人が見たら本当に其処に人が住んで居るのかと疑うくらい、家と呼ぶのも憚られる様な荒れ果てた粗末なあばら家だった』



『でも…おじさんはさっき、良く手入れの行き届いた綺麗な猫だったって…そんな所に住む程貧乏だったのに、何か不釣り合いじゃあないですか?』



『うん、そのお婆さんも、最初からそんなに貧乏だった訳じゃあないんだよ』

『寧ろ、裕福な方だったのではないだろうか』

『近所に住む人の話によると、昔の華族様の家柄で、その一帯の地名と同じ名字をしていたと云うんだよ』

『私は余り覚えていないんだが…その当時は既に人手に渡っていた屋敷は、とても広い庭のある立派な屋敷だったそうだよ』

『そんな環境に生まれた事が原因なのか、それとも別に何かあったのか…お婆さんは、その粗末な家にお爺さんと二人で越して来てからは、余り派手な近所付き合いもせず、ひっそりと暮らしていたんだ』



『でも…何でそんなに貧乏になってしまったんだろう?おじさんは何か知ってるんですか』



『うむ、その老夫婦は持っていた財産の殆んどを、信頼して運用を任せていた人に奪われたらしいんだよ』

[前頁へ][次頁へ]

30/95ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!