眠れぬ夜
夏の始まり 7
「鷺ノ宮?」
騙してるんじゃないよね?
嘘だなんて言わないよね?
「鷺ノ宮・・・。」
僕は不動の肩にそっと手を置いてから・・・
・・・不動の唇にキスをした。
僕に最低な事をして、力付くでプライドを奪った男。
なのに、こんなにも惹かれて止まない。
不動の唇は僕にとって丁度良いぬくもりで、心地良い。
「ハァ・・・。」
羽が触れたようなキスをして、僕達はお互いに見つめ合った。
不動は戸惑っているようだ。
いつも自信に満ち溢れていて、弱さの欠片も見せたことがない不動が。
今はこんなにも頼り無く見える。
「鷺ノ宮・・・お前。」
不動が僕の手首を痛いぐらいに掴んでから、僕の瞳を覗き込んできた。
「お前・・・何で?何でキスしてきた?」
僕は心を決めた。
「不動が好きだから。だからキスした。」
驚愕で見開かれた不動の黒曜石の瞳は、本当に綺麗だ。
「・・・う、そだろ?お前が、俺の事を・・・///?」
「好き・・・///。」
「いつからだ?いつから俺の事が好きだったんだ?」
「わからない。でも、気付いた時には不動が好きで堪らなかった。」
暫くお互いに見つめ合っていたら、何だかこそばゆくなってきた。
それは不動も同じらしくて、ほんのり耳が赤い。
数分そうしていたら、不動が聞いてきた。
「鷺ノ宮、キス・・・していいか?」
「うん・・・///。」
そんなこと聞かなくってもいいのに。
不動とのキス。
今までとは違う、深い深い愛情の籠った熱いキスが交わされた。
「ハァ、ハァ・・・。アァ、ン。」
不動の舌が柔らかくて、だけど明確に僕の舌に絡めてくる。
背筋がゾクゾクしてきて、腰に響いてくる。
もう不動の支え無しじゃ立っていられない。
こんな情熱的に求められたら、正気じゃいられない。
ハヤクツナガリタイ!
僕の考えてることが不動に伝わったのか、不動が僕に。
「鷺ノ宮、お前と1つになりたい。」
って言ってくれた。
僕は嬉しくて、もう一度不動にキスをした。
不動の全てが欲しい。
今までより、
もっと深く、
もっと熱く、
もっと身体中で感じたい。
だから不動に僕の気持ちを伝えた。
「不動、僕を好きにして!」
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