こんな恋が、伝われば良いのに 何なら永遠にサソリさんの体のまま眠る事になっても、サソリさんと一緒に眠りたいに決まってます。 「この気持ちがサソリさんに伝わると良いのに」 隣で眠るサソリさんはもちろん見た目は私。隣の私はもちろん見た目はサソリさん。 共同体なら心も共同できたら良いのに。なんて思いは、眠りにつくサソリさんに伝わってなどいないだろう。 「サソリさんは、私と眠るの嫌ですか」 案の定、サソリさんから返事が返ってくる事はなかった。 「サソリさんは、私と永遠に眠るのも嫌ですか」 寝息も立たせず眠っているサソリさんから、返事を期待している訳でもなかった。 「サソリさんは、私が嫌いですか」 ただ、 伝わると良いのに、なんて思っただけだった。 「私は、サソリさんが……」 「さっきからテメーは、喧しい奴だな」 「……………!」 「もう夢見なきゃならねー時間なんだろ」 寝息も立たせていなかったくせしてサソリさんは、フッと鼻息を立たせた。 「え、まさか、サソリさんずっと起きてましたか」 そのまさかである。 「じゃ、じゃあまさか今のサソリさんに伝わって……」 どうやら伝わってしまったようです。 [*前へ][次へ#] [戻る] |