大切な事は一度伝えたら十分
バッチリと伝わっていた。
もちろん、夢じゃない。それこそ夢だと思いたいが夢じゃない
「寝たふりなんてひどいですサソリさん!」
「テメーが勝手に誤算しただけだろ。フリも何もしてねーんだよ」
「確かにそうですけど…!」
今更恥ずかしくなってきただなんてのも誤算だ。
告白なら既にサソリさんが嫌がるくらいしたというのに。伝われば良いのになんて事も思ったはずなのに。
フリじゃないなら不意打ちだろうか。ともかく恥ずかしい。
「聞かれるのが嫌なくせして口にしてんじゃねーよ」
いざ伝わると、言わなきゃ良かったなんて思う。
「サソリさんこそ嫌なら聞かないでください」
「聞かされたの間違いだろ」
嫌なくせに、嫌だとは言わないサソリさんは嫌ではないのだとも言っているかのようだった。
「それに、嫌な訳じゃない」
本当にサソリさんは今、嫌ではないと言った。
「え……!」
それって、私の話を聞くのが嫌ではないという意味だろうか
それとも、私と眠るのが嫌ではないのだろうか。
まさか、私が嫌ではないとサソリさんは言ったのだろうか。
どれにしろサソリさんが答えてくれるはずもない。
と、思ったのに。
「あ、あのそれってどういう意味の……」
「言ったはずだ。同じ事を二度言わせるな」
嫌じゃない、その一言はどうやら全ての答えになっていたようです。
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