まるで夢のように
「良い夢見ましょう」
本当に夢みたいだ。
「では、おやすみなさい」
「おやすみなさいじゃねーよ」
サソリさんと一つ屋根の下、サソリさんと一つ布団の中で眠れるなんて夢みたいだ。
「えー寝ましょうよサソリさんもう夢見なきゃいけない時間ですよ」
夢みたいだけど夢じゃない。だけどもう、夢見なきゃいけない時間だ
「自分の部屋で寝ろよ」
「何言ってんですかここは私の部屋ですよ」
「………………。」
あくまで私の部屋だ。しかし今その私は、サソリさん。
従ってここはサソリさんの部屋だとサソリさんは言いたいらしい。
あくまで私の部屋だ。
「まあまあ良いじゃないですかサソリさん。ごたごたしていたらこんな時間な訳ですし、今日くらいは」
ごたごたとは、あれだ。キスするかしないかのあれだ。
あれのおかげで時刻は夜更け。
こんな時間な訳でもあり、こんな事をした訳でもあり、今日くらい一緒に寝ても良いだろう。
「では、おやすみなさい」
「おやすみなさいじゃねーよ」
二度言われた。
「えー寝ましょうよサソリさんまさか嫌なんですか」
と言うと、サソリさんはククッと笑ってきた。
これは夢じゃない。
この笑い方こそ、サソリさんなのだから夢じゃない。
「殺されてーか」
何ならこの体のまま本当に永遠の眠りにつかせてやるなんて笑えない事を、ククッと笑いながら言うサソリさんはいつものサソリさんらしい。
やっぱり夢なんかじゃないと、思ったのに。
「それでも寝たいなら寝てやろうじゃねーか」
夢みたいだ。
サソリさんと一緒に眠るなんて
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