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ハニーキャット
16
自分の部屋につき、背中をドアつけて寄りかかりながら閉める。

はぁ〜危なかった。ムサシたら力強くてよく服の袖伸びちゃうから。

唇を尖らせながら袖口が痛んでないかを確認する。


「よかったぁ…大丈夫みたい」


安堵し胸を撫で下ろしながらベットの方に向かい腰を下ろす。

ボクのならいくらでも破かれたりしてもイイけど、これはハルさんのシャツだからね。
もし破けたりしてたら返せないもん!

ギュッと袖を握りしめると不意に爽やかな香りがした。
徐に袖口を顔に近づけるとシトラス系の香りが微かに鼻腔をくすぐる。


「イイ匂い」


香水かな?すごくイイ匂い…ハルさんの匂い。

その匂いから頭のなかでハルさんが再生される。

指を絡めたらすんなり受け入れくれそうなサラサラの黒髪に少しキツそうな力強い猫目。
しなやかだけど体はボクより少し大きくて、声は優しくてとけそうな甘いトーン。
キレイで仕草が妙に色気があってかっこよくて、笑顔が素敵で見てると落ち着く。
一緒にいると少し緊張したけど、不安になることはなかった。

匂いと共に思い出すハルさんの姿にトクントクンと小さく心音が増すのを感じた。

一緒にいると不思議な気分になったな、ボクの欲しいことをしてくれた。ワイシャツだってかけてくれて。
それに…


「っ…き、すも」


流れるように隣に座ったハルさんの顔が段々と近づいてきてキスされた場面を思い出してしまった。
と同時に顔に熱が集中してきて熱さを感じ、思考がごちゃごちゃにかき回されているような感覚になる。

あ、あのキスはどういう意味なんだろ?
忠告みたいなこと言ってたけど普通そこまでするのかな?
もしかして、もしかしてだよ?ボクのこと好きでしたとかだったら…


「嬉しいかも」


想像して思わず飛び出した言葉に胸が高鳴り全身の毛がブワッと逆立つようなむしゃぶるいをした。

嬉しい!うんハルさんがボクのこと好きだったら嬉しいよ!!
だって…だって!ハルさんキレイで優しくてカッコイイし、それにボクを助けてくれた王子様みたいな人なんだよ。
嫌いになるハズがない。
つまりボクもハルさんのことが…


「好きなんだ」


言葉にした瞬間に心臓が破裂しそうになるくらい鼓動が速くなり顔が更に熱くなっていく。

これって一目惚れってやつだよねっ。
どうしようスゴイドキドキしてる…。

胸に手を当てると大袈裟なまでに跳ねる心臓が痛いくらいだ。
たまらず枕に顔を埋めるようにベッドに倒れこむ。
すると不意に目に入る無造作に置かれた絵本を見つけてを伸ばすした。
表紙には二足歩行の黒猫が剣を持って立っている姿が描かれていた。
そうボクの好きな黒猫の王子様の絵本だ。

黒猫の王子様は悪ヤツに襲われてた白猫のお姫様を助けて白猫のお姫様は恋に落ちたんだ。
ボクも同じ、悪ヤツに襲われてるとこをハルさんに助けられて好きになった。
きっとハルさんはボクの王子様なんだ。強くて優しくてかっこよくていつでもボクを助けてくれる。
夢にまでみた、ずっと待っていたボクの王子様。

絵本を抱きしめ瞼を閉じながらハルさんを思い浮かべる。

ボクに優しい笑顔を向けて、ボクの頬に触れる手は温かい。そしてハルさんから…


そんな想像をしているその時…



「蜜樹ー?帰ってキテルノ?」

「っ!…う、うん帰ってるよ」


下から聞こえてくるパパの声に我にかえり慌てて返事をした。

そういえば今日パパ出掛けてたんだよね。打ち合わせから帰って来たんだ。

普段家にいるハズのパパがいないことにも気づかない程にボーとしてたのかと今になって気づく。


「そうかーじゃあ編集さんからドーナッツもらったから一緒に食べないかー?」

「うん!着替えてから行くから待っててー」

「早くねー」


そっと絵本を置き、急いで制服から部屋着に着替えて下に下りる。
次いでに気づかれないように洗濯機の中にハルさんのYシャツを入れて素早くパパの元に向かったのだった。


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