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★ スタホ殺人事件 ★
混戦序章

駿介は今日作った初代馬をダビ卿に出走させた。

駿介の『タキシードマキシマ』はC番人気6.3倍、他にプレイヤー馬が4.3倍の同倍2頭出走している。

レースは軽快な逃げをうった『タキシードマキシマ』が先頭で4角を回って直線を向いた。

『カチカチカチカチ』

左隣からまたペイボタンを連打する音が響いてきた。

「ん?」

居闇神戸の馬はこのレースに出走していない。サイドも珍しくしていない。

「な、何のためにこの人達は連打してるんだ?」

駿介は目が点になった。『タキシードマキシマ』の逃げよりも、なぜこの2人が必死にペイボタンを連打しているのか?

駿介はてっきりペイボタンを連打するのは自分の馬が出走しているか、サイドした時にその馬のランプが光るように叩いているのだと思っていた。

しかし、このレースはどちらでもない。

「一体何なんだよ…」

レースは直線粘った『タキシードマキシマ』が逃げ切り、A着とB着に2頭のプレイヤー馬が入った。

『あの2人、出走もサイドもしてないのにペイボタン連打してたぜ。』

駿介は小首を傾げながら伊井に話しかけた。

『相手にするな。信じてるんだろう?根拠のない迷信を…。考えるだけ無駄無駄。』

伊井は首を振りながら、右の手の平を顔の前で激しく振りながら「相手にするな。」と言わんばかりの表情で答えた。

「考えても無駄か。」

駿介は思わず自分が真面目に考えたことに対して照れを感じた。

WBCSはフサイチペガサスが鬼脚でカイロ競馬場を駆け抜けた。

桜花賞には亞穂菜の『ショッキングピンク』がテイエムオーシャンを抑えて@番人気で出走していた。

亞穂菜ちゃんは伊井に宣戦布告した割には桜花賞に回ったか。」

ブルースカイでは、3歳牡馬三冠でメダル3,000枚、3歳牝馬三冠でメダル1,500枚が貰えるサービスがある。そのため、牝馬でも比較的桜花ではなく、皐月に出走してくることが多いのだ。

レースは直線の叩き合いを制して『ショッキングピンク』が桜の女王の座に就いた。

レース後、亞穂菜駿介伊井のところには来ないで、黙々とサテで作業をしていた。

皐月の登録状況を見ると伊井の『スカイエメラルド』と居闇の『トロッコトロトロ』、神戸の『ヤマノテセン』、他にプレイヤー馬が2頭登録してあった。

駿介はサテの画面が競馬場になっているのを確認して、飲み終えたコーラの空き缶を捨てに行くために席を立った。

駿介は冷たいお絞りを2つ手に取り、サテに戻ってきた。

ちょうど駿介のサテを店員の早間くんが拭いているところだった。

「なんだ、さっきの画面もこういうことだったのか…」

駿介はさっきの不安が消えて、すっきり晴れやかな気分になった。

『ありがとう。』

駿介は早間くんにお礼の言葉をかけた。

『いいえ、ごゆっくりどうぞ。』

早間くんは爽やかに笑って駿介に一礼したあと、後ろのプログレスの方へ歩いていった。

レースは皐月賞のパドックになっていた。

@番人気3.1倍『スカイエメラルド』
A番人気3.4倍『トロッコトロトロ』
B番人気アグネスタキオン
C番人気プレイヤー馬
D番人気プレイヤー馬
E番人気19.1倍『ヤマノテセン』

レースは『ヤマノテセン』が好スタートで大逃げを打ち、『トロッコトロトロ』は出遅れた。

「おいおいって…」

駿介は自分の馬の結果ではなく、居闇の馬の展開にイライラさせられるので余計に腹が立った。

レースは前半の5ハロンを59″4で『ヤマノテセン』が逃げ、直線に入ると猛然と『スカイエメラルド』が馬群を割って追い込んでくる。『トロッコトロトロ』も最後方から伸びてはいるものの、どうみても『スカイエメラルド』を交わせる勢いではない。

直線突き抜けた『スカイエメラルド』が@着、何とかタキオンを差した『トロッコトロトロ』がA着に入り、『ヤマノテセン』は掲示板外へと消えていた。

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あきゅろす。
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