作者でも分かるとまと同人誌情報コーナー
幕間リローデッド第5巻経過報告:03(サンプルあり)(2017/5/29)
古鉄≪というわけで、幕間リローデッド第5巻は明日(2017/05/30)販売開始。みなさん、何卒よろしくお願いします≫
(よろしくお願いします)
恭文「さて、今回は書き下ろしの方を紹介……クライマックス刑事はお休みとなりますが、わりと密度は濃い感じで」
古鉄≪まずはアプリスク編からどうぞー≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「でも蒼凪プロデューサー、なんでそんなに詳しいの……!? さすがに、退職金絡みの話は予想外だったんだけど」
「前に関わったある事件で、定年間近の刑事さんがいてね。その事件の捜査に首を突っ込み続けると、懲戒免職もあり得たの。
……それで凄(すご)く迷ってたんだ。正義を成したい気持ちはあるけど、それでもって」
「じゃあ恭文さんもその刑事さんには……何も」
「何も言えなかった。特に僕はフリーランスで、好き勝手に暴れているからね」
蒼凪プロデューサーでも、発言を差し控えるほどにデリケートな問題。それに立ち入った私は、やっぱり子どもで。
う、うぅ……自分で言っていて突き刺さる。でも学習……ここが、学習……!
「それにこの手の状況は、過去の事例でもデータが揃(そろ)っているしね」
「データ!? え、退職金絡みのデータなんてあるんだ!」
「そっちじゃないよ。不特定多数の集団……世論が警察の活動に与える影響と、広報の重要性ってのがあって……あ、見えてきたね」
長い洞穴の出口……真っ白なそこに飛び込むと。
「……しまむー、しぶりん、寒い」
「防寒マント……着込んでるのに」
「はいー」
真っ白な世界……遠くには山の陰や、深い谷間も見える。あ、でも樹木は多めかな……針葉樹だね。
それだけでアイリス島とは違うとよく分かる。ここは正しく、未踏の地だ。
◆◆◆◆◆
ややちゃんをカバーしながら、≪近衛兵装正式盾≫でシールドバッシュ。ビームをタイミングよく弾(はじ)いてカウンター!
反射したビームがガーディアンを叩(たた)き、爆炎を上げる。更に≪ミスリルソード≫で盾を叩(たた)いて挑発――とりあえずこっちのは引きつけておく。
「蒼凪プロデューサー、そっちは任せた!」
「OK!」
蒼凪プロデューサーも、左指をくいくいと動かし挑発……それでもOKですか! こんどやってみよう!
みんなと射線が被らないよう、左に移動して……すると、後ろから獣のうなり声。
「未央!」
振り返るとそこには、二メートルくらいはある人食い虎≪ブラックタイガー≫が……しかも三匹!
ガーディアンもがしゃがしゃと近づきながら、更にビームを放とうとする。 普通なら焦るところ。でも……私は一人じゃない!
「来なさい!」
志保ちゃんが盾を打ち鳴らして挑発。虎のうち一匹が引きつけられたところで。
「我は展開する! 炎の乱舞!」
更にリインちゃんが、聞き慣れない呪文を発動。広場全体を埋め尽くすような炎が、一瞬だけ地面を舐(な)める。
これは……そっか、元素術士≪マクロミスト≫の得意技! 確か結界を展開することで、対応属性の戦技・魔法の強化ができるんだっけ!
今のは炎属性の結界だから、それで責め立てれば……よーし!
「可奈さん!」
「うん!」
――地・天――
「火遁(かとん)の術!」
可奈ちゃんもそれに合わせて忍術発動。三匹纏(まと)めて焼き払い、ターゲットを自分に向ける。
そうして他二匹もまとめて、一団に駆けだしたところで……しぶりんとしまむー、アルトちゃんが挟み撃ち。
「はぁ!」
しぶりんの刺突で、右側の虎が頭を打ち抜かれ。
「そこです!」
しまむーの逆風抜き打ちで、左側の虎が顎を切り裂かれながら吹き飛ぶ。
「きゅー!」
とどめにアルトちゃんが、真ん中の横っ腹にキック。
◆◆◆◆◆
「……恭文さん」
「僕に言われても困る……! というか、志保だって聞いてたよね! ジェノバのNPC達も、散々危険だって言ってたのよ!?」
「ですよねー。しかも廃虚ってわけでもなさそうですし」
「というか、なんなのですか。あの雪玉は」
民家の脇には坂が作られていて、更にその近くには雪玉……しかも、一メートルくらいある巨大な奴だ。
防寒着姿のおじさんに近づきながら、坂の下(さかのした)をチェック。すると、どういうことでしょう。
「恭文さん……!」
「だから、僕に言われても困るよ!」
「言いたくもなりますよ! なんですか、あの……三角形になるよう並べられた、十本のピン!」
「ピンって言ってる時点で、答えに行き着いてるよね! え、まさか……」
そう……でこぼことした坂に、ボウリングのピン。更にガーターゾーンと思(おぼ)しき溝……これは、正しく。
『ボウリング!?』
なぜこんなところにボウリングが……そんな不思議を感じながらも、トーマスというおじさんに聞いてみる。
「――これは古い文献を参考にした、スノーボウラーというゲームなんだ。元々は地形を利用した籠城戦の練習。
大きな石を転がし、的にぶつけていたんだ。それを雪玉にすり替え、安全で誰でも楽しめるゲームにアレンジしたのさ」
「それ、もろにボウリングだよね……!」
「ルールは簡単。雪玉を二回転がして、あのピンをどれだけ倒せるか。一回で倒せばストライク……三百キレル進呈しよう。
二回目で全て倒せばスペア……百キレルだ。なお挑戦料として、十キレル頂くよ」
「お金稼ぎのゲームだったのですか! でも面白そうなのですー」
「うん! これで儲(もう)ければ、あっという間に大金持ちだよー!」
「……そう簡単にいけば、いいけどねぇ」
つい呟(つぶや)きながら、坂を見る……そうしている間に、未央がおじさんに近づいていた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「というわけで、今回のアプリスクは五日目前半――僕達アザサキ組は極寒の地を踏破します」
古鉄≪まぁいつも通り、ゆるーい感じの冒険ですが。FF11で言うとザルカバード近辺ですね≫
恭文「極寒の地……うぅ、頭が」
(いろいろ思い出もある模様)
恭文「それで特別書き下ろし二つ目は、めしばな刑事タチバナ……ですが、今回のメインは僕でもなければ、サリさんでもなく、そしてCPメンバーでもなく」
古鉄≪ではどうぞ≫
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……最近、妙に気になったんだよね。CPがウーパールーパーを拾ってきてから」
「あぁ……そういえばあれも八十年代の流行(はやり)だっけ」
「あのときもU.F.Oを語ったし……あぁ、今西部長達はいい人だったのに」
あれが最後の華やかさだった。そう思って、つい全員で遠い目をする。
「実は瑞樹ちゃんや楓ちゃんとも、ちょくちょくその話をするんだよ。エブリバーガーってお菓子についてとか」
「エブリバーガー?」
「ハンバーガー型の菓子だ」
「静岡(しずおか)では、大下さん達から昔のドーナツ話を聞いてさ。ここのところ、この時代に関わるブツばかり、立て続けに考えている気がする」
「姐さんも三十路(みそじ)が近いからなぁ。思うところがあるんだろ」
そんなことを言う遊佐には、跳び蹴りー! そのまま床に倒れてしまえ!
「……あ、いたいたー」
そこで瑞樹ちゃんが登場。笑顔で手を振ってくる。
「瑞樹さん、おはようござ」
「ねぇ早苗ちゃん、今日は花キン(花の金曜日)だし、飲みニケーションしましょうよー」
「いま……す……」
あぁ、美嘉ちゃんがどん引きしてる! 瑞樹ちゃん、ちょくちょくネタが古いからなぁ! 今日のは格別だから!
◆◆◆◆◆
「……俺もあるぞ。昨日、拓海と外回り途中……野良猫が引っかいてきて、思わず『なめんなよ!』と怒鳴りつけた」
「なめ猫じゃないの、それ! ……あ、あの……私がこの間、愛梨ちゃんとスイーツを食べた後、横浜ベイブリッジの夜景を見たのも……関係、あるかしら」
遊佐と瑞樹ちゃんの念押しにより、誰もがざわつく。あぁ、やっぱりか……きてるんだ、流れが。
「え、ちょっと待って。偶然じゃないとしたら、何!? 呪(のろ)われてるの、アタシ達!」
「……ウーパールーパーは、こう言いたかったのかもね。あの時代のことを、忘れないでくれ――」
「どういうことだ、姐さん」
「八十年代に日本中を沸かせた≪珍獣ブーム≫。四天王と言えば……エリマキトカゲ、コアラ、ラッコ、ウーパールーパー。
ただ今年の二月、長いことラッコを名物にしていたサンシャイン水族館は……その展示を辞めた」
それもまた、時勢と忘却の成せる技。それを察したみんながざわめく。
「近年オーストラリアではコアラが増えすぎて、ついに駆除対象になったとか」
「コアラが、駆除されているですって!?」
◆◆◆◆◆
「お……おい!」
「駄目ぇ! ねぇ、まだ思い出していない……”楽しかった思い出”、何かあるんじゃないの!?」
「そうっすよ! まず、落ち着いて……あ、もう一杯飲みます!? 俺、奢るっすよ!」
「ありがとう……でも、そうか。俺は君みたいな……二十代の若い子から、同情されるほど惨めなんだな」
「それは誤解っすぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」
「石川ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
あぁ、石川が余計なことを……とはいえないか! なので美嘉ちゃん、その締め上げは緩ーくしてあげて! 石川も必死なんだよ!
「斉藤さん、この調子だとそちらで説得は」
「正直、もう打つ手なしです……! せめて、せめてあと少し時間が稼げれば!」
「早苗ちゃん、どうしましょう! もういっそスタン弾で撃って……駄目よねー!」
「絶対駄目よ! 気絶したまま溺れて死ぬわよ!?」
なるほど。飛び降りに備えて、防護手段を準備してるってところか。でも間に合わない……もう、あとちょっとで手が離れようと。
「……姐さん、一かばちかで飛び込んで、組み伏せるか?」
「それしかないか……! 遊佐、自慢の逃げ足は錆(さ)びてないだろうね」
「たりめぇだろ。石川、美嘉嬢、お前らは陽動だ。そのまま極力騒いで、引きつけろ」
もみ合っていた二人も、状況を察して頷(うなず)く。
長山専務は何か言いたげだったけど、腹を括(くく)ったのか……『やれ』と頷(うなず)くだけに留(とど)まった。
こういうとき、本当に……いい上司に恵まれたと思うわ。
さぁ、大下さん達を見習って……!
「――カプリソーネ!」
……そこで。
まるで天恵の如(ごと)き声が響いた。
◆◆◆◆◆
「カプリソーネは特定世代にとって、思い出がたっぷり詰まっているわりに、忘れがちになる名前でな」
「あぁ、そうだ……カプリソーネ、なんだっけ。夏の日差しがなんか、きらきらして……楽しいイメージの」
「……それは、確かに覚えがあるな」
「あ、はい……私もです」
「長山専務と斉藤さんも!? えっと、何かの食べ物っすか。イタリア系とか」
「飲み物だな」
さすがに若い連中は知らないらしい。だが一定年齢以上の男達は……無論、今西某も引きつけられている。
「飲み物……どんな味だっけ」
「ヒントはストロー」
「お……思い出したぞ! 袋に入っている奴!」
「そう……一九八四年に全国販売されると同時に、当時のティーンをときめかせた≪アルミパウチの袋入りジュース≫! それがグリコのカプリソーネ!」
「「あぁ……!」」
「あぁあぁ! あれは斬新だった!」
そこで今にも消えそうな炎を思わせる、男の無為な表情がほころんだ。生の喜びを実感し、その足にも力強さが宿る。
「元々はドイツ生まれのブランドで、特定ポイントに先の尖(とが)ったストローを突き刺し、飲むんだ」
「それがなかなか難しいんだよ。失敗するうちに、先が曲がってどつぼにハマる」
「私もありました! それで諦めて、普通に切って……ストローをさして!」
「……それなら、私も覚えがあるわ。冷蔵庫に入れて、凍らせて食べた記憶が」
「あたしも! 子どもの頃だけど……うん、あったあった!」
長山専務と警官、更に川島瑞樹と片桐早苗も思い出した様子。なお後者二人は、世代的にギリギリか。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
恭文「今回のお題は、八十年代を風靡したドリンク。なお話がかなり長くなるため、次巻に続きます」
古鉄≪なぜ早苗さん達が、こんな状況に陥ったか。それは本編を見ていただければと思います。なお……この人がそのとき、何をしていたかというと≫
恭文「こんな感じでした」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「もしもし、蒼凪です」
『赤坂です。恭文君、決勝進出おめでとう』
「ありがとうございます!」
そう……この人は公安の赤坂衛さん。魅音達と知り合った一件、元々はこの人の依頼がキッカケだった。
今も公安として厳しい事件に立ち向かっているけど、巨大×キャラの一件以来、激務は控えめになったとか。
それでも有事に備え、訓練訓練……また訓練の日々。なおそのおかげかこの間、強化装甲を拳一つで砕けるようになったとか。
そうして付いたあだ名が徹甲弾の赤坂……本人、実に不満そうでした。
「もしかして赤坂さんも静岡(しずおか)に」
『私も? ……あぁ、そうか。魅音さん達、346プロの臨時プロデューサーになったんだっけ。それで梨花ちゃんも君の応援でいて』
「えぇ」
え、ちょっと待って。魅音達の状況をもう知っている? ……それで妙に、嫌な予感が走ってしまった。
『ならちょうどよかったのかな。実はここ最近の平和的状況から、長めのお休みがもらえてね。
雪絵と美雪共々、そっちで過ごす予定だったんだ。というか、もう静岡(しずおか)にいる……君の応援も兼ねてね』
「そうだったんですか。ありがとうございます」
『そうそう……大石さんや南井刑事、山沖さん達も喜んでいたよ。で、例のサツキ・トオル君は』
「それについては、いい御報告ができます。……それで僕は、どこに行けばいいんですか」
なので予感に従って先読みすると、赤坂さんは電話の向こうで、困り気味に吐息を漏らす。
『……察しが早くて助かるよ。本当ならお祝い尽くしといきたかったんだけど……とにかく、すぐに出てきてほしい。大事な話がある』
◆◆◆◆◆
そんな話をしながらも、名所となっているガンダム立像前へ……なお、その隣にはシャアザク! 見上げるとそのディテールと存在感に、もうどきどき。
「おぉぉぉぉぉぉ……恭文ぃ!」
「落ち着け! これは、いいものだ……!」
≪あなたは先日見て……いや、何度見てもいいものですね≫
≪なのなの。これでシャアが戦ったかと思うと、感慨深いのー≫
ガンダム立像でも相当な存在感があったけど、これがシャアザクと並ぶと……あぁ、想像できるよ。
二人の戦いが……シャアの八艘(そう)飛び、それに狙いを定めるアムロ。
しかし一発、また一発と放つ光条は避けられ続ける。機体の性能ではない、操縦者の性能が負けている。
それに焦りを募らせていると、目の前に赤い眼光が走った。そう、シャア……奴がきた!
反応する間もなく襲う衝撃。腹を蹴り飛ばされたのだと気づいたとき、アムロは痛感する。
このザクは、他のと違う……これがエースなのだと。
今、僕達は刻の涙を見ている――。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
古鉄≪満喫していますねぇ、あなた≫
恭文「人生は楽しまないとー。そんなわけで、幕間リローデッド第5巻、何卒よろしくお願いします」
古鉄≪なお、こちらはネタバレを控えるため、要所要所を削った上でサンプルとしております。ご了承ください≫
(幕間リローデッド第5巻、みなさん何卒よろしくお願いします。
本日のED:SCREEN mode『Naked Dive』)
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