[前]雲色の願い
4
───病室。
一人部屋の大きい部屋に、恭樺は寝ていた。
凄く辛そうに、息をしている。
手をそっと包めば、弱々しく握り返してくるんだ。
まだ辛そうだから、薬を飲まそうとしても
起きているのが辛くて、寝てしまう。
……これしかない、かな。
僕はそっと恭樺の薬を水と一緒に口に含む。
ギシリ、
ベッドに僕の体重がかかり、軋む。
それを気にしている余裕はない。
ゆっくり、恭樺に顔を近付ける。
………一瞬戸惑って、でも、それは本当に一瞬だった。
ゆっくり唇を重ねる。
薄く開いた唇に、薬と水を流し込む。
舌で、優しく。
ゴク…、と喉が動いて
唇を離す。
口端から零れた水なのか唾液かわからないが、舌で掬う。
「…恭樺」
愛しい、少女。
唇を重ねたのは、
…これが゙2゙回目。
さらり、と恭樺の髪を撫でる。
(あれは、)
(僕等が小学生の時)
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