#02


「何だあれ…?」



加持は何気なく渡り廊下の窓から外を見た。

そこから見える景色には下駄箱のある玄関があり、キョロキョロと辺りを見渡す男子生徒が居た。


何か探し物をしているのか。


それにしては挙動不審過ぎると足を止める。

何となくその生徒を見つめた後、なんの気紛れか帰宅ついでに話し掛けようと加持は思った。






「何か探し物?」

「っ…あの、僕、今日からここの学校に編入してきたんですけど‥、」



加持は振り向いた生徒の姿を見て驚いた。

真っ白な肌にサラサラな薄茶色の髪、整った清潔感のある顔立ち、吸い込まれそうな瞳。

まるで夢の中に出てくる天使のようだと加持は思った。



「…編入ってことは‥転校生?」

「はい、…えっと、学生寮の場所が分からなくて、」

「じゃ一緒に行く?俺も今から寮戻る所だし。」

「…っ、はい!!」



転校生らしい彼は嬉しそうに、本当に嬉しそうに笑った。



「名前は?」

「作間優です。」

「作間な。俺は加持勇真、ちなみに二年だから。」

「あっ…じゃあタメだ。なんか…加持君って大人っぽいし、優しいし…それに格好いいから、てっきり先輩かと思っちゃった。」



作間は綺麗な顔でニコッと笑った。



それにしても、と加持は思う。



懐かしい、


何故だろう


何処か懐かしい



意味の分からない感覚に襲われた加持は、作間と言う存在が不思議でならなかった。

初対面である筈の作間に懐かしさを感じるだなんて…

何がそう思わせるのかと、考えれば考えるほど謎だった。





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