#01
少し肌寒くなった。
季節の変わり目。
「ん〜……」
鼻歌交じりに昼寝をして、加持は屋上でのんびりと過ごしていた。
「加持ー、まぁたそれ歌ってるしぃ…つーか何て歌ぁ?」
「…さぁな、」
加持の親友である嘉藤が昼寝の邪魔をする。
いつもと何ら変わりのない光景だった。
「もしかしてさぁ、歌の名前知らねぇの?」
「………天使の歌、」
「ぶはは!!!!お前が歌った所で悪魔の歌だし!!ガラじゃねぇだろぉ!!」
「るせぇ…、」
加持は嘉藤の頭を勢い良く叩いた。
加持は幼い頃からよく天使の夢を見た。
その天使は美しく、とても綺麗な歌声で…。
そんな天使に対し、加持はとてつもない感情を抱いていた。
夢の中の人。
存在しない天使。
会える訳がないと分かっているのに…。
加持は天使に恋をしてしまった。
やがて年齢を重ねる度にその感情の可笑しさに気が付く。
天使は男。
まして天使など元々居ない。
果たして自分の頭が可笑しいのか、
『天使に恋をした』だなんて、誰にも言えない悩みを真剣に考え過ごす。
加持は何時まで経っても天使を忘れる事が出来なかった。
→
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!