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PSO2小話
「二人は相棒(ゼノ視点)」
初対面の時から不思議な組み合わせだと思っていた。
任務上の情報よりも、私的に、人間性を見ても不思議だった。

「相棒のこと?。うむむむむ…改めて聞かれるとよく分かんない事だらけなんだよなぁ…、強いのは分かってるけどそれ以外のことは未だにさっぱりって所の方が多いかな?。だってアイツ滅多に自分の事は喋らないから」
アフィンはまるで他人事のように言うと、期待した答えが得られなかったゼノは呆れたようにため息を一つ。
初対面から劇的だった後輩二人組みは、ゼノにとって何かと気になるコンビだった。
新米だと言われていた二人が、いつの間にかアークス船内では徐々に目立ち始めた頃、ゼノは彼の相棒について改めて質問した。
何処かで逢った様な、懐かしい雰囲気を確かめたかった。だが、その相棒から返ってきた答えは的外れと言うか期待ハズレ。
「よく分かんねぇ相手と上手くやってけるお前もすごいと思うぜ…アフィン」
「上手くやってるかどうかは、オレ自身まだ自覚は無いけど、上手くいっている様に見えるのは相棒のお陰かな?、なんせアイツとは喧嘩らしい事はできそうに無いから」
「強いからか?」
「そうじゃなくて、何て言うかなぁ…怒る気にならないんし許しちゃうんですよ。こっちが何を言っても『…そうか』で会話が終わっちゃうから、結局オレの一人よがりみたいでさぁ…、大人ですよ、アイツ」
確かに見た目の年も物腰の落ち着いた雰囲気も若年とは言い難い。だがそれ以外に原因があるとゼノは思った。
「つまり、お前ら二人は相思相愛って訳だ。はいはいご馳走様」
「なっ!?、何言って!オレ達そんな関係じゃないですから!」
「そうかぁ?、俺には惚気にしか聞こえないぜ。ったく…若いって気楽なもんだぜ。俺なんてパートナーどころかっすっかり保護者だぜ。五月蝿いししょーもない失敗ばかりするし。お前等が羨ましいぜ」
当ての外れた質問と答えに、すっかり話題はあらぬ方向へ脱線する。
ならばこのままからかうのも一興。先輩としてのコミュニケーションだとゼノは顔を真っ赤にしたアフィンを見て笑った。
「何勘ぐってんですか!、せ、先輩達だって人目も憚らず任務中にイチャツイてるじゃないですか!」
「…その通りだな」
アフィンの反論を肯定する言葉に、ゼノの笑い顔が一瞬凍る。その声の主はアフィンの背後に立ち真顔でゼノを見つめてくる、その視線は感情が篭っていないようで逆に恐ろしくもなった。
「よ…よお!阿蒙。丁度お前の話をしてた所だ!、あはははは!」
「…そうか」
「あ、相棒…何時からそこに」
気配を感じさせない接近に驚くものの、何処か安心したようにアフィンが阿蒙を振り返り見上げた。
そのまま見詰め合うこと数秒、何かを思い出したようにアフィンが声を上げた。
「そうだ!相棒、一緒に買い物に行く約束をしてたんだよな!。ゴメンな、俺から誘ったのに…探しに来たんだろ?」
そう言われて頷く阿蒙の表情に、少しだけ感情らしき雰囲気が浮かぶ。
「…行こう」
「んじゃ、オレ達はこれで。さっきの話、エコーさんには内緒にしときますよー」
「はいはい、…って余計なお世話だ!」
墓穴を掘るというかミイラ取りがミイラになると言うか、結局損をしたのは自分だけのように思えたゼノは立ち去る後輩二人を見送った。

阿蒙への最初の依頼で、共に森林へ降り立った時のことを思い出す。

黙々と標的を「狩る」。そんな表現がぴったりの戦い方だった。
それが頼もしくもあり、何処か物悲しさも感じた。

『お前さんは根っからのハンターみたいだな。ソードの振るい方、様になってるぜ』
『…そうか』
『そうか、って…褒めんだから素直に喜べよ』
『…そうか』

交わした会話と言えばこの程度、しかし他人を寄せ付けない雰囲気ではない。
唯単に無口なだけか、或いは…。

「めんどくせぇモンを背負った者同士、ってところか」

偶然でも、必然でも、二人が出会った現実。

願わくば、このまま二人が並んで歩く姿が続くことを…。


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あきゅろす。
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