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散雪華〜貴方と共に〜
二人の役職

広間では、二人が待っていた。


「待たせて悪かったな。 此処に集まってもらったのは、新選組の副長助勤達だ。 改めて自己紹介をしてもらえるか?」

少し緊張の面持ちをしていた二人に向かって、土方さんがいつもよりも物腰の柔らかい口調で促した。


「はい。では、改めまして。 山崎丞と申します。家は山城で医者をやっております。」

「ほう、医者か。そりゃ、引く手数多だな。仕事多くなるぞ!」

「私は副長の手足になりたいとこの新選組に入隊をお願いしに来ました。どんな仕事も喜んで引き受けるつもりです。」

「だってよ、土方さん。斎藤と言い、山崎と言い、何だってこの人がいいんだかな」

「知らねえよ。俺に聞くな。 …こほん。山崎と言ったな。お前はこの辺りの事も色々と知ってるだろうから、監察方に回ってもらいたい。それから、医術の心得もあるようだから、その辺りも頼む事になるだろう。」

「それは、剣では敵わないという事ですか?」


「あの。私から一言よろしいですか?」

剣なら立ち会ったのは私だ。
だからか、土方さんも黙って頷いた。

「山崎さんの剣はとても真っ直ぐで、そして軽い捌きでした。 剣筋はとても良かったと思いますよ。ただ、土方さんの仰るように新選組の多くは多摩の出身です。だから貴方のような方に監察をしていただきたいのでしょう?」

最後の部分は土方さんに向けてだ。

あいにく、私が彼らの出身を彼らの口から聞いた事はなかったので、原田さんとかがすごく驚いたような顔をしていたけれど…


「っ…ああ。 そんなとこだ。あとは、お前が信用に値すると俺が勝手に思った。そうじゃなきゃ、監察なんて大任、入ってきたばかりの奴に任せられるかよ。」

「あ、ありがとうございます! この山崎、命に変えても監察のお役目を全ういたします!」

「ああ。よろしく頼む。それから…」


「島田魁と申します。出は江戸ですが、様々な地に養子として出されておりました。 各地を点々としておりましたが、何年か前江戸にいた時に永倉さんと知り合いました。」

「へえ。新八っつあんと知り合いだったんだ。」

「それじゃあ、新八の下についてもらうのがいいかもな。 島田には、山崎の監察も手伝ってやってほしい。まだ隊編成はねえが、出来たら新八の下で働いてもらう。」


土方さんの言葉に頷いた二人の顔は、とても輝いていた。



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あきゅろす。
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