44:【新設定!!?】
『・・・・・・』
えー、只今、僕はクロコダイルにがっしり掴まれ、上空をさっそうと飛んでます・・・。
傍から見りゃ少女を誘拐する七武海。
いや、そんなんどうでもいい。いや、どうでもあるか。
なんっで僕はクロコダイルに掴まれて拉致られてんの。さっきのあのシリアスどこ行った。僕の決断どうしてくれんだ。
さっきのクロコダイルの驚き顔は一体何なんだ・・・。僕の翼を見た時。
翼を見て能力者か聞いたんだよな。んで次に落とし子かって・・・。・・・それってどういう意味?
本当に訳の分からないまま、僕達は葬祭殿に着いた。
「成程・・・隠し階段・・・」
右側の階段の傍に、正方形に切られた隠し階段の入り口があった。
相変わらず僕をいつでもミイラに出来るようにと、右手で肩を痛いくらいに掴んだまま、その隠し階段を下る。
下り終えると両側に開いた扉の奥、内装が施された広い部屋に出た。その中央にはポーネグリフを解読しているロビンちゃんがいた。
扉のすぐ近くには腕を後ろに拘束され座っているコブラ王の姿もある。僕を見て驚いた表情になった。
「・・・こいつが"ポーネグリフ(歴史の本文)"か。ニコ・ロビン」
「・・・!?何故その子を・・・!?」
「なんだ、知り合いか?・・・コイツの事は今は後回しだ。そいつは解読出来たのか」
「・・・ええ」
「さァ読んでみせろ。"ポーネグリフ(歴史の本文)"とやらを・・・」
『(いい加減離してくんないかなー)』
ギリギリって、肩痛い痛い。でも少しでも動けばミイラにされちゃいそうだし・・・。困った。
「カヒラによるアラバスタ征服。・・・これが天暦239年・・・。260年、テイマーのビテイン朝支配」
「・・・!?」
つらつらと記されている歴史を喋り出すロビンちゃん。それに苛立ちを含めた制止の声を掛けるクロコダイル。
「この国の歴史なんざ知ったこっちゃねェ!!!この土地に眠る、世界最悪の"軍事力"のありかをさっさと教えろ!!!」
だがロビンちゃんは冷静にそれの答えを告げる。
「記されていないわ。ここには歴史しか記されてない」
「なに?」
「"プルトン"なんて言葉は一言も出てこなかった・・・」
「・・・・・・」
クロコダイルは黙り込んだ。今まで自分のしてきた事が無意味だったのか、とでも失望してるのだろうか。
しかし、僕が考えたのは違ったようだ。
「・・・そうか・・・残念だ」
「!?」
「お前は優秀なパートナーだったが、ここで殺すとしよう」
『(こここっ、怖ァァァ!!!)』
急に上で凄んだ声出さないでくれ!!怖かった・・・!
てか待てよ!!ロビンちゃんを殺すだァ・・・!?
「!!!? な・・・・・・!?」
「4年前に結んだおれ達の協定はここで達成された」
ロビンちゃんが持ちかけた話は、ポーネグリフのある場所までロビンちゃんを連れて行けば"兵器"の情報はクロコダイルにゆずる、というものだったらしい。
「しかし――!!!最後にお前は口約を破った・・・!!この国のポーネグリフは「プルトン」の手がかりすら示さねェ!!」
『!!?』
クロコダイルは僕の首の回りに砂を漂せ、フックでロビンちゃんに攻撃する。とことん僕を逃がさない気かよ!
それをかわしたロビンちゃんの帽子がフックに突き刺さった。
それを払うと、また喋り出すクロコダイル。
「――だが、おれはお前に怒りなど感じない。なぜだかわかるかニコ・ロビン・・・!!!」
「ふふ・・・!ばかね・・・。4年も手を組んでいたのよ!?あなたがこういう行動に出る事くらいわかってたわ!!」
ロビンちゃんはさっ、と服の中に手を忍ばせ水の入った試験管を取り出した。
そしてそれをクロコダイルへと投げつけたが、安易にかわされた。
だがロビンちゃんは能力を使い、手をクロコダイルの肩に咲かすと試験管を受け止めた!
「く・・・!!」
「水をかぶればナイフも刺さるでしょう!?」
試験管をクロコダイルにまた投げた―――!
パリィン!!!
「!!?」
だが試験管はクロコダイルに当たらず、クロコダイルは砂になってそれを回避した。
「よけたっ、どこへ!!?」
『!!? ロビンちゃん!!!』
「・・・・・・!!」
遅かった。クロコダイルはフックでロビンちゃんを刺し貫き、引き裂いた。
『!!!!』
「全てを許そうニコ・ロビン。なぜならおれは・・・」
「最初から誰一人、信用しちゃ・・・いねェからさ」
ロビンちゃんは血を吐き出し倒れた。
『て、てめェ・・・!!』
「あぁ・・・?何か文句でもあるのか・・・!?」
凄みを利かせた顔でこちらを向き、手を僕に向ける。
「てめェの首なんざ、おれが少し動かすだけで跳ね飛ぶ・・・」
『チッ!!』
思わず舌打ちをしてしまう。身動き出来なくて悔しい・・・!!
「「プルトン」が実在する事はコブラの反応でもわかってきた。"こんなもの(歴史の本文)"に頼らずとも自力で探すさ・・・この国が手に入りゃあ時間の問題だ・・・!!!」
それに、とクロコダイルは続け、僕を見た。
「古代兵器を指し示す"指針(コンパス)"・・・そいつを運良く見つけられたんだからなァ・・・」
『!!!??』
え?今何て言った?古代兵器を指し示すコンパス・・・!?何ソレどれソレ!!!むっちゃこっち見てるけど!!?・・・まさかまさかまさかまさか!!!いやいやいや!!!何をスピークしてるかサパーリネ!!僕もだけど!!
僕が混乱しているその時、何かの破壊音に続き急に地面が揺れ出した!な、なんだ!?
「何ごとだァ・・・。広場の砲撃にはまだ早ェぞ・・・。!てめェか・・・!?何をした・・・!!!」
コブラ王だ。コブラ王がこの地下聖殿の重心をずらす柱を抜いたのだ。
「ネフェルタリ家第12代国王の名において・・・お前ごときにこの砂の国はやれんなァ・・・」
・・・!王としての決意と威厳が伝わってくる・・・。
「オーオー・・・王様の鏡だなてめェは・・・」
だがクロコダイルは岩盤を砂に変えて脱出できてしまう!
しかも広場の大爆発により何もかも消し飛んでしまう・・・!クロコダイルにとって邪魔者がいなくなったこの地は、
「その瞬間からこの地は・・・おれの国となるのだ!!!クハハハ、てめェは犬死さコブラ!!!」
「・・・・・・」
その時だ。
ドゴォン!!
「・・・ハァ・・・ハァ、ハァ・・・ハァ・・・!!」
「・・・・・・!!!てめェ・・・!!!」
『!!! ルフィ!!!!』
「ひずに!!?何でお前ここに居るんだ!!!」
「・・・なぜ生きてるんだ。殺しても殺してもなぜてめェはおれに立ち向かってくる。えェ!?・・・麦わらァ!!!」
「なぜここへ・・・!!!」
「・・・麦わら・・・?!」
! 良かった!ロビンちゃん生きてた・・・!!
それにしてもルフィ・・・!!やっと来た!!!
「何度殺されりゃあ気が済むんだ!!!?」
「・・・まだ返して貰ってねェからな・・・!!お前が奪ったものを・・・!!!」
「おれが奪った・・・?"金"か・・・?"名声"か?・・・"信頼"か!?・・・"命"か?・・・"雨"か!!?クハハハ、何を返してほしい。奪ったものならいくらでもある」
どれも違う。返してほしいのは、
「・・・"国"!!!」
「国・・・!?可笑しな事を言う奴だ・・・。国はこれから貰うのさ・・・。おれがこの地の王となり支配する事でな・・・!!」
「おれ達がこの島に来た時には、もうとっくになかったぞ・・・!!あいつの国なんて・・・!!」
「?」
「ここが本当にあいつの国なら、」
ルフィの顔が怒りに満ちた顔になる。
「もっと・・・!!!笑ってられるはずだ!!!」
「(ビリッ!!)!!」
ルフィがクロコダイルに向かう!だけどルフィは水を持ってない・・・!!
ド ゴ ォ ン !!!
「!!!!」
!!! 蹴り飛ばした!!!
クロコダイルは勢いよく壁にぶつかった。それに追い討ちを掛けるようにルフィが飛び出す!
「クロコダイル〜〜〜〜!!!!」
「待・・・」
ド ゴ ォ ン !!!
「!!!!」
ボッコォォ・・・ン!!!
す、すげェ・・・ルフィ、すげェ・・・!!
「ハ・・・ク・・・!!!てめェ・・・まさか・・・!!」
ルフィの拳から血が落ちる。
「血で!!?」
「血でも砂は固まるだろ!!」
凄いけど・・・おいルフィ!いくらルフィでも血を流し過ぎだ!!
『そんな体で保つのかよ!!ルフィ!!』
「大丈夫だ!!!それよりひずに!!早くおっさん達連れて逃げろ!!!」
『それが無理なんだよ!!首の回りに砂があって、コレはクロコダイルが操ってるんだよ!!!』
「Σハァ!!?何でだ!!?」
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ!!!クッ・・・ハハハハハハハハハ」
急にクロコダイルが笑い出した。
「そいつ・・・てめェの友達は、古代兵器を指し示す"指針(コンパス)"なんだよ・・・!!」
「コンパスゥ??」
『さっきから・・・それどういう意味だ!!!』
「知らねェのか・・・?落とし子が何らかの能力を持っているのは知ってるだろう・・・?」
『それがどうした!!』
クロコダイルは笑みを絶やさない。
「大抵は悪魔の実で言う"超能力(パラミシア)"か"動物系(ゾオン系)"の類を持つ落とし子がいる・・・。そして問題はゾオン系だ。体を変化させた時、もしそいつが銀色であったならば・・・!!!」
「"神"の名を持つ古代兵器の在処を示す、"指針(コンパス)"となる!!!」
『はっ・・・!!?』
「意味わかんねェ!!!」
ななな、なんだそりゃァァァァアアア!!!??何その新設定!!!
でも何故クロコダイルが僕を逃がさなかったのは分かった。僕が古代兵器の在処を示すコンパスとなるからだ。
でも、急にそんな事言われたって!!
『訳がわかんねェ!!!第一そんな事どこで・・・!!!』
「そんなの、今はどうでもいいだろ!!!おれはクロコダイルを、ぶっ飛ばす!!!」
僕的にはどうでも良くないかなァァァ!!
「・・・いいだろう。"レインベース"・・・"王宮"・・・そしてこの"地下聖殿"へと・・・二度地獄を見てなおこのおれに挑んできたお前の執念に報いてやる・・・・・・!!!」
「んん!!!」
ルフィが蹴り込むが、それをかわした。
「海賊としてだ・・・」
そして、左のフックを取り外したと思いきや、中にまた一回り小さな穴が沢山空いたフックが姿を表した。
「そして、おれもお前を目障りな"敵"と認めよう」
「『!?』」
「とれた・・・何だ?」
「"毒針"さ」
毒針・・・!!
だがそれをさらりと流すルフィ。
「そうか」
「一端の海賊では、ある様だな・・・。海賊の決闘は常に生き残りを駆けた戦いだ。卑怯なんて言葉は存在しねェ・・・!!地上で爆発が起こればここも一気に崩れ落ちるだろう」
ゴゴゴゴゴ・・・!!と地響きがなり、岩盤が崩れ落ちる。
最後の戦いが、始まる。
「これが最後だ。決着をつけようじゃねェか!!」
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