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35:【むしろ飛ぶ】

「アーーーー・・・」


さっきの勢いはどこへやら。ルフィはあまりの暑さにダレている。

それは皆も同じで、チョッパーなんかモフモフ毛皮のせいでキツそうだ。ゾロに引っ張ってもらってる。

歩きに歩き続け、今はユバに4分の1は近付いた程。

ルフィは腹が減ったのか、ビビに"海賊弁当"をせがむ。


「わかった・・・じゃあ次に岩場を見つけたら休憩ということでどう?」
「よ〜〜〜し!!岩場ァ・・・・・・岩場ァ〜〜〜〜〜〜っ!?」


NOT IWABA!!!


「お前って剣士か?」
『え?僕?』


急にゾロが話し掛けてきた。んー、剣士?僕を剣士と呼んでいいのかな?


『分っかんね』
「ハァ?何で分かんねェなんて言えんだ」
『実戦やったことねェもん』
「ハァァァアア!?何でだ!」
『どうにもこうにもやったことねェんだよ!!文句あんのか!!』
「アァ!?やんのか!!」
『怪我すんのヤダ』
「狽トめっ、舐めてんのか!?」


だって無駄に体力使うのやだし。何よりもめんどくさい・・・。


「・・・そういえばお前の刀、妖刀じゃねェか?」
『・・・ええぇぇええ!?』
「は?お前知らなかったのか?」
『しししっし知らない!!知らなかったよ!!?』


こここコレッ、妖刀だったのかよォォォオオ!?


「お前・・・よく知らずにそいつを持ってたな」
『だってエースそんな事言ってなかったし!ふっつーに渡されたわ!!』
「まァ、今まで何も無かったって事は、そいつはお前を選んだんだろ」
『!』


おおおおぉぉぉぉおおお・・・!お前っ、僕を選んでくれたのか・・・!?


『・・・・・・(ホロッ)』
「!!? ななななっ、何でお前泣いてんだよっ!!?」
『だって・・・嬉しいじゃん・・・!』
「あー!!ゾロがひずに泣かせたー!!」
「「「女の子泣かせたー!!」」」
「てめぇら!!」
「アアア!!?おいゾロ!!てめぇひずにちゃんを泣かしただァ!!?」
「うるせェ!!コイツがいきなり泣き出したんだ!!」


ギャーギャーやってる皆を前に、ビビが心配して寄ってきた。


「ひずにさん大丈夫?」
『ん、ゴメン。ただの嬉涙だから!にしてもうるさいねアイツ等』
「・・・フフ、でも、温かいわ」


ビビが麦わら一味を見る目は優しくて、嬉しそうだった。


* * *


「重い・・・重いぞ暑いし・・・」
「お前がジャンケンで負けたせいさ。黙って運べ」
「落とさないでよルフィ!」


ジャンケンで負けたら全員の荷物を持つ!という提案の元やったらルフィが負けたの図である。

さほど僕は重い荷物を持ってる訳じゃないから遠慮しといた。


『ルフィ頑張れ!後もう少しさ!』
「ややっ!!!前方に岩場発見!!」
「ほんとかっ!!?」


一瞬にしてルフィの顔が明るくなると猛ダッシュした。


「休憩タイムだーーーーーーーーっ!!!!」
「速ェな」


あ、確かここってさァ・・・。

ふと思い出した時ルフィが慌てながら猛ダッシュでこっちに戻ってきた。


「大ケガして死にそうな鳥がいっぱいいるんだ!!チョッパー来て治してやれよ!!」
「う・・・うん、わかった!!」
「鳥!!?ちょっと待ってルフィさん。その鳥って・・・まさか・・・!!!」


ビビがはっ!!となった顔で言った。

岩場に急いで行って見ると、そこには何も無い。


「さっきここに本当に死にそうな鳥が!!!」


ビビが"ワルサギ"という名の鳥の仕業だと言う。旅人をダマして荷物を盗む"砂漠の盗賊"だそうだ。

サンジとルフィの言い合いが喧嘩に勃発しそうだった時に、ゾロの一喝が飛ぶ。


「・・・ちょっと休もう・・・カッカすんのは全部暑さのせいだ、頭冷やせ。夜中には"ユバ"に着くんだろ?」
「ええ・・・・・・」
「その町がオアシスならそれまでの辛抱だ。死ぬほどのこっちゃねェ!!」
「このことは忘れよう。考えると余計ノドが乾く。10分休んだら出発だ」


おお、ゾロがまともな事言ってる。

途端にルフィが大声を上げだした。


「あいつらだァアアア!!!おれ達の荷物を返せーーーっ!!!」


小バカに笑っているあの鳥が"ワルサギ"なんだろう。ルフィが追っかけて行った。

だがルフィはすぐに大声を上げながら戻ってきた。


「うううわあああ〜〜〜〜っ!!!」
「「「今度は何だァーッ!!!」」」


全く忙しい船長だな(笑)


「何かに追われてるわっ・・・!!!」
「・・・サンドラ大トカゲ!!」


ルフィはめちゃくちゃでかいトカゲに追いかけられている。てかこっち来んなァァァ!!!


「・・・となりでラクダも走ってるってのはひとまずおいとくか・・・」
「―――ったく、どういう星の下に生まれれば、こうトラブルを呼び込めるんだ」
「・・・・・・く!!こんのヤロォ・・・」


ルフィ、ゾロ、サンジが大トカゲに構える。


「"ゴムゴムの"・・・」
「"龍"・・・」
「"肩肉"・・・!!!」
「「「"巻き""ムチ""シュート"!!!!」」」


ドガゴォォン!!


おわわわ!!?一撃だよ!!いや、三撃?惨劇?

これじゃァむしろ大トカゲに同情する・・・。

同情はしたが食料がないし、皆で食べる事になった。


「ていうかひずにが飛んであの鳥捕まえてくれたって良かったじゃねェか」
『あ、なるほどウソップ。その手があった!!!』
「初めに気づけよ!!」
「―――で・・・何なんだ、このラクダは・・・」
「さァ・・・さっきの鳥を追ってたらよ、あいつら飛んで逃げやがって、そしたら前からコイツがトカゲに追われて走ってきたんでとりあえずおれも走った」


鞍が付いている分、野生のラクダではないようだった。

まずルフィが乗ろうとしたが、ラクダが噛み付いてそれを拒んだ。


「『おれは通りすがりのヤサラクダ。危ねェところを助けてくれてありがとう。乗っけてやってもいいが・・・おれは男は乗せねェ派だ』って言ってる」
『んじゃ僕が乗るー!』


ラクダって乗ってみたかったんだよね!!


『よいしょ・・・?』
「・・・」
「何かひずにが乗ると、すごい嫌そうな顔してるぞ?」
「『胸がないし色気もないが、一応女だからな』って言ってるぞ」
「コイツ生意気だぞ!!誰が命救ってやったと思ってるんだ!!あとひずにちゃんに謝りやがれ!!」
『テメェ!!貧乳のどこが悪い!!それと色気ないのは知ってるわコノヤロウ!!』
「ヴォーヴォー;」


ウソップ・ルフィ・サンジ・僕でボカボカとラクダを蹴り殴る。コノヤロウが!!


「ごめんね、ウチの盗賊達がひどいことして」


ナミがラクダを撫でるとラクダの目がハートになった。ケッ、女好きなだけだろコイツ。


「いいコじゃないvキミ何て呼んだらいい?」
「アホ」
「ボケ」
「タコ」
『エロ』
「じゃ"マツゲ"ってことで」
「お前それ一番変だぞ;」


確かにナミのネーミングセンスはどうなってるんだ。

ナミとビビがエロラクダに乗ることになった。フン、いいもん。僕は自分の足で歩いてやる。むしろ飛ぶ。


「それ行けっマツゲッ!!!」
『よし、皆離れてないと砂飛ぶよー』
「「「ちょっと待てーーーっ!!!!」」」
「ホラみんな急いで!はぐれたら、あんたら生きて砂漠を出られないわよ?」
『早く早くーアハハハ!』
「「「フザけんなー!!!」」」
「そんなナミさんとひずにちゃんが好きだーv」


まだ後ろを見ると何かしていたけどまァいいや!放置!!


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