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ハルノヒザシ

「ねぇねぇ前田こん中見ていい」
「いいよ」
部屋に戻って、また俺がちくちく針を動かしていると、手前で暇そうにコーヒーを飲んでいた三好が俺の紙袋を手にそう言った。
中には三好のドレスの材料やらなんやら。
「なんか大量の布が入ってるけどまさかいちから作るの?」
「んーん。まさか。それは飾りみたいな感じに使う。さっき言ったじゃん。ドレスは…」
「…こ、これは…」
「チャイナドレスを元にして作るって」
「これどっから探してきたの?」
三好はちょっとびっくりした顔をして、紙袋の一番下に入っていた赤いチャイナドレスを広げながら言った。
うん。三好にはやっぱし赤が似合うよ。
「ん、町の古着屋さん」
「はーあ、前の持ち主はなに考えて買ったんだろうな」
「そこんとこは深く考えちゃダメだよ」
「まさかチャイナドレスを着ることになろうとは…」
「出来上がりはかなり違う雰囲気になると思うけどね。見えるのは上の部分が少しだけだし」
着てもいいよ、と言うと三好は「これから沢山着るからいい」と首を降った。
「んーじゃあさ」
思い付いたように顔をあげる三好。
「前田着てよ。はたから見てみたい」
「んんん、多分見ても違うと思うけど。それでもいいなら」
「うん。いい。人が着てるの見たい」
わかった、と俺は三好からチャイナドレスを受けとった。
この頃、三好をシンデレラにする片棒担いでしまったせいか三好の言うことを断れない俺。
持っていた針を針山に刺して裁縫道具をいったんしまうと、チャイナドレスを持って立ち上がり、来ていたジャージのズボンを脱いだ。
「ちょ、恥ずかしいから凝視しないで」
「ああ、ごめん。どーやって着るのかと思って。他意はないんだ」
そんな俺をずっと見ていた三好に思わず俺が言うと、三好は慌てて目を閉じた。
さっきまでお風呂に一緒に入ってたけど流石に、なんか目の前で着替えるのはなんか恥ずかしい。
なんと言ってもチャイナドレスだし。
上に着ていたTシャツも脱ぐと軽くたたんでからズボンと一緒にベッドの上に放る。
ん、しょ、と。あ、ちょっときついかも。三好入るかな。 レディースだしなこれ。当たり前だけど。
ま、いっかなんとかしよう。
「いいよー」
着替え終わって声をかけると三好がパチリと目を開けた。


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あきゅろす。
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