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ハルノヒザシ

「ど、どう?」
「けっこうぴったりしてるね」
俺はいるかな?と俺のチャイナドレス姿を椅子に座ったまましげしげと見つめた三好はいつも通りの表情で言った。
い、いやむしろひいてる?なんか無理に感情を出さないようにしてる気が…。
「キツそうだったら背中に何か足すとかどうにかするよ。んでスカートはこう布足してひらひらっとさせる感じで」
「すごいスリット入ってんね。弟君いたら大興奮すんだろうな」
「ちょそこら辺あんま見ないで」
思いっきり俺のトランクスが見えているので恥ずかしい。
「ちょっとそこでくるっと回って後ろも見せて」
「ん」
くるりとその場で回ると、パタパタとドレスの裾がはためいた。
「やー華奢だね。前田。ピタッとしてる服着るとますますそう見える」
感心したように言う三好。多分ただそう思っただけなのはわかるけどあんまりじっくり観察しないでください…頼むから。
そう思うとなんか顔が赤くなってきてしまい、俺は頬を押さえた。
「やっぱ恥ずかしいね。これ。三好一人の前でも恥ずかしい…。女装させてすみません…三好」
「俺一人の前だからだろ。皆でやりゃ恥ずかしくねーよ。少なくとも俺は前田より図太いからな。ありがとう、着替えなよ。かわいかったぜ」
さらっと三好は言って、また目を閉じた。
俺はそそくさと脱ごうとするが、焦って胸の脇のファスナーを下ろそうとしたためか布をかんでしまって中々外せない。ちょ、これ壊れてない?中古だからかな。でもまだ使うから壊すわけにもいかないし。ちょうど見えない位置だし…。
「もー着替えた?」
「…脱げない…」
しばらくして三好が聞いてきた声に、俺が情けなく答えると、パチリと再び三好の目が開いた。
ベッドの横にへたりこんでいる俺と目があう。
「大丈夫?」
椅子から立ち上がって俺の隣に膝をつく三好。
「布噛んでない?」
とりあえず俺は三好にファスナーの様子を見てもらう。
「ん。ほんとだ。全然動かねーなこれ」
「わああ。どうしよう。これで通学することになったら」
「学校中の注目は前田のものだな。あ、なんか糸みたいなの挟まってるから切っていい?」
「頼むー。裁縫道具の中に糸切りバサミ入ってるから」
「了解」
三好が糸切りバサミを持って、戻ってくる。



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