[携帯モード] [URL送信]

ハルノヒザシ

「三好、あの、大丈夫だからね」
「何が?」
「あ、あの三好のそれ、絶対他の人には見えないようにするから!!」
三好の刺青と刃物傷。
ああ…、と三好が合点がいった顔をする。
劇の話が出た一ヶ月前から気にしてた。そのこと。
でも三好は多分みんなのために受けてくれたから。
知りつつその計画にのっちゃったものとしてそれだけは、絶対やろうと思ってたんだ。
「三好の衣装は全部俺一人でやるから!!誰にも見られないから」
「ん、さんきゅ」
前田が俺の専属スタイリストなんて嬉しいな、と三好は少しおどけながら言った。
「あのね、色々考えたんだけど、着替えの時とかにも絶対見えないように、袖がねこんくらいまであるデザインに…」
三好の横に近付いていき、俺は三好の腕をとった。うーん、この辺まで刺青が入ってるから隠しつつ、でもドレスっぽくするには…。
うーん、と三好の腕をとったまま俺が考えこんでいると、ふと三好の視線を感じた。
俺は顔をあげる。
三好が俺を見ていた。
「…しようと思って…」
三好の瞳に俺が映ってるのがみえる。
「あ…、あんまこの話やだ?」
「ううん。気にしてないって言ったろ。続けて。聞いてるよ」
「あ…えっと、なんだっけ…?」
「やだ。前田。なにボケてんの!?」
俺の衣装の話だろう?
「俺はね。けっこー楽しみだぜ。前田の腕前見るの。家庭科部部長だったんだろ」
「ほ、本当に!!それは腕がなるな!!あのね!!だからチャイナドレスみたいなのの上からストール巻いてね…」
「うん。うん。それで?」
三好が俺の話を微笑みながら聞いてくれるので、俺はついつい熱く三好に語ってしまう。
「…そうすれば見えないし、けっこうボリュームも出て豪華に見えるんじゃないかと」
「うん。完成するの楽しみにしてる」
「ありがとう三好。俺も楽しみ!」
そんなことを話していたら、そろそろ時間なので、俺達は浴室から退散することにした。


[*前へ][次へ#]

7/87ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!