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ハルノヒザシ

「あぁー夕陽綺麗…」
清水寺の舞台の上。手すりに腕をのせて遠くを眺める兄貴は夕陽に染まっていた。
じーっと光を映す兄貴の瞳が、キラキラ輝いて見える。
「夏のおかげだねーこんな夕陽が見れるのも」
「俺はねだっただけだもん」
「夏の誕生日じゃなきゃなかなかこんな思いきったことできないよ。プランも夏が全部たててくれたし」
ちゃっかり俺の方が楽しんじゃったかもな。ありがと。夏。
兄貴が夕焼け色の顔で笑う。
「誕生日、おめでとう。ケーキはまた後日作ってやるな」
「んーん。も、なにもいらない。もう充分過ぎるほど充分だよ」
俺、しあわせ。
俺がそう言うと、兄貴が手を伸ばして頭を撫でてくれた。
胸がいっぱいで、きゅんきゅんして、詰まりそうで、弾けてしまいそうだった。

だいすき、だいすき、だいすき。

この人が居てくれるなら俺はもうなんにもいらない。
ぎゅっと兄貴の細い体を、力の限り抱き締めたかったが、人目があるので我慢した。

「前田ぁ早く行こうぜ」
「あ、すまん」
あの日。ついぼんやりしてしまうほど、一緒に立ちたいと思った場所で。

俺と兄貴はずっと夕陽を眺めてた。

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あきゅろす。
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