お約束 「なぁ、家で宿題やらねぇ?」 俺の言葉に友人達は、そろって目を丸くした。 「なんだよ」、って言葉をかけると、彼らは目を見合せて 『ちょっと意外だっただけ』 、と口を揃えて言い切る。 「お前ら・・・」 俺の怒りを余所に、三人は笑いながら歩き出した。 「ほら、大輔君も行きましょ?」 最後尾にいた少女が、振り返って俺に笑いかけてくる。 それだけで、つまらない怒りが吹き飛び、顔の筋肉が緩むのが自分でもわかった。 「いま行くよ、ヒカリちゃん」 言いながら、笑顔で俺は駆け出した。 「で、僕らを呼んだ理由がこれか?」 親友は、ため息混じりにそう言った。 「こんなことだと思った・・・」 その右隣にいる金髪の少年もまた、呆れた様子を隠そうともしない。 「うぅ、うるせー。」 少し──いや、かなり居心地が悪い。 夏休みに入ってから、遊びまくり、サッカーしまくりだった。 そして目の前には山積みの宿題。当然だ、手をつけてない。 「頼む!手伝ってくれ!このままじゃ終わらねぇ!」 俺が手を合わせてそう叫ぶと、三人は盛大なため息をついた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |