小説 3
漆黒王と幻の伴侶・1 (漆黒王子数年後・魔法使いパロ・R18)
※こちらは 漆黒王子が街を行く 魔法使いが海に行く の続編になります。
白く細い腰をぐっと掴んで深く穿つと、きれいな筋肉のついたなめらかな背中が、猫のようにしなった。
「あっ……んっ」
快感を恥じるような声。
もっと大きく啼けばいいのに、首を振って耐えようとするから、攻める腰も、つい強くなる。
「は、あ……っ」
耐えて耐えて、耐え切れなくて漏れる声。
長い指が、シーツを掻く。
今、どんな顔で悶えてんのか、喘いでんのか、ひどく見てぇ。
見てぇけど、こいつを追い詰める自分のリズムが心地よくて、善くて、止めようにもちょっと止めらんねぇ。
衝動のままに、激しく揺さぶる。
寝台がきしむ。
啼きむせぶ声。
薄茶色の髪が、シーツに散る。
黒髪、黒い瞳が何より尊重されるこの国で、茶色い髪と瞳を持ちながら、唯一、身分の高い者。
若くして、「大陸一」の実力を認められ、白魔導師の称号を持つ青年、ミハシ=レン。
全ての魔導師の頂点に立ち、畏怖と尊敬を一身に受けるこいつが……こんな風に、男にベッドで組み敷かれて、貫かれて、ガンガンに揺さぶられて、啼かされて、息も絶え絶えに乱されてる姿を……誰が想像するだろう?
そんなコトできんのは、オレだけだ。
こいつに王位を与えられた、オレだけだ。
オレのモノだ。
強く思う。
いつもいつも、そう思ってる。
オレのモノだ。
絶対に放さねぇ。逃がさねぇ。
身も心も。この先の未来も。夢も。全部オレのモノだ。全部。全部……。
「ミ、ハシ……っ」
細腰を捉えて、深く、深く突き入れる。美しい体をオレ色に汚す。口接けて、全身に赤い印を刻む。
そして、すべてを注ぎ込み、体の中からオレの白濁に染めて……染めて。オレのモノにする。
全部。
オレにとろとろに溶かされたミハシは、果てた後、上気した顔を覗きこむオレに、焦点の合わねぇ目を向けた。
「ア、ベ君……」
「んー?」
優しく返事して、汗に濡れた髪を掻き上げてやる。
ふひ、と薄い唇が笑みに緩む。
キスして、覗き込むのは、長いまつげの奥の瞳。薄い、琥珀色のそれは、この国の王族の血が、一滴たりとも入ってねぇしるしだ。
皆、オレの持つ漆黒の色を、至上の宝と褒めそやす。けど、オレは……この琥珀こそ、国の宝だと思ってる。
大陸一の白魔導師。頼りなげな外見に牙を隠し、息をするように自然に、呪文の詠唱すらなく、数々の魔法を使う者。
なのに、ミハシはこの国にずっと留まり、オレの後見をし、オレを生涯補佐するって言ってくれた。
側にいるって。
こんなに嬉しい事はねぇ。
だから、オレは同じくこいつに誓おうと思う。何があっても、一生、お前だけを愛すって。この腕に抱き、熱を交わすのも、キスをするのも、生涯お前ただ一人。
「お前だけだって、誓うよ、ミハシ……」
叔父の仕掛けた軍事クーデターにより、父を殺され、投獄されたのは、16歳になる少し前のことだった。
オレを地下牢から救い出し、王の器かを裁定し、後見人を引き受けることで、オレを王位に着けてくれたのは……当時、16歳だったミハシと、ミハシの唯一の弟子・ミズタニだ。
あれから4年。
ミハシはミズタニを伴って、城下町にある魔導師会館と、この城にある魔法使いの塔とを自由に行き来して暮らしてる。
そして、夜は……こうして、オレと共に過ごしてる。
ここのところ、ミハシは割と、忙しい毎日を送ってるらしかった。
オレの後見とか、城付きの魔法使いとしての仕事だけじゃねぇ。白魔導師として、魔導師協会からの仕事もやらなきゃならねーし。できそこないの弟子の面倒も見なきゃならねーしな。
北で魔女とトラブったって聞きゃ、飛んで行って仲裁したり。
南で干ばつが起きたって聞きゃ、飛んで行って雨降らせたり……。
ミハシに依頼されるのは、他の魔法使いじゃこなせねぇような厄介なものばかりだったけど、どんなに忙しくても、必ず毎日、オレのベッドに帰って来た。
もしかしたら色々、思うこともあったかも知れねー。オレよりも、先に20歳になったんだし。
けど、オレはオレで、善政を目指して忙しくて……。
ただ毎晩、白い肌を味わうだけで満足してた。
(続く)
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