小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結 47 「ぷ…」 ぷーの耳がぴくぴくと動く。 それが肯定なのか否定なのか主夜にはよくわからなかったが、多分、間違いないだろう。 「ぷー、まさか、紫陽の気を食って出てきているわけではあるまいな…?」 そうだとしたら、紫陽の体には大変な負担だろう。 たとえ珠の中に棲む龍だったとしても、紫陽に害をなすものは絶対に許せない。 ぷーが少し首を横に振った。 何かを食べる仕草をする。 おそらく、術を習得するとともに紫陽の中の気の流れが変わったので、珠の中から出ることができたのだろうが、すべてを紫陽の気に頼っていたのでは紫陽が倒れてしまう。 だから、食事をするということなのだろうと主夜は判断した。 「では、紫陽の気は食っていないのか?」 ぷーが小さな前足で耳の先をつかんで見せる。 「それは、紫陽が気付かないほど本の少しだということか?…、いいか、ぷー、少しでも紫陽の体に負担をかけたら、俺はすぐにお前を殺す。たとえお前が珠の中に棲む龍だったとしても、俺の命とひきかえに、殺す。わかるか?」 ぷーの前足がそっと主夜の手に乗った。 そんなことはしないと言っているのだろう。 優しい気が伝わってくる。 主夜を慈しんでいるような感じさえする。 「それからもう一つ。紫陽と俺の邪魔をするな。ただでとは言わない。三食腹いっぱい食わせてやる」 ぷーは少し考え、もう一度主夜の手に暖かい前足を乗せた。 「よし、交渉成立だな」 主夜がぷーに向かいニッと笑った時、紫陽が戻って来た。 後ろに麻がいる。 「朝食は済んだのか?」 「はい、ご馳走様でした」 ぷーがぴょんと紫陽の頭の上に乗る。 「まあ、あなたがぷーさんでございますね」 紫陽から話を聞いたのだろう。 麻がぷーに向かって指を出した。 「あ…!」 噛まれるぞ!主夜が声をあげるより早く、麻の指はぷーの前足をそっとつかんでいた。 「なんてかわいらしいんでございましょう。そうそう、ぷーさんにぴったりのお洋服がございますよ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |