小説2 (鬼×神と人のハーフ) 完結 42 だとしたら、二人の間には大きな溝があることになる。 どうしたら埋められるだろうか。 黎や星のように、一番愛している相手から愛していると告げられたなら、どんな気持ちがするのだろうか。 「星、いいかげんにしろよ」 黎の怒気を含んだ声が間近で聞こえて、主夜ははっと現実に引き戻された。 居間に黎と星が入ってきたようだ。 主夜の姿はカーテンの影に隠れて見えないのだろう。 「黎さまこそ、いい加減にしてください」 星の声にもいつもの優しさはない。 主夜は二人の言い争う声に、出て行くタイミングを逃してしまった。 「またそれだ。その呼び方はいけないと言っただろ!何でいつもそうやって澄まして、話をはぐらかすんだよ」 「はぐらかしてなどいません。お断りしただけです」 「だから、どうしてっ」 「黎さま、私は男です。まして影の身。どうして月山に行けますか?」 星の語尾がふるえた。 泣いているのだろうか。 「星、月山じゃなくていい。他のどこでもいい。星の好きなところでいいから、一緒に暮らしたい」 黎の声が優しくなった。 やはり、星は泣いているのだろう。 「黎さま、何度も言ったように、私は男です。黎さまは月山の跡取りを生さなければならない身。それは、なりません」 「だから、そんなことは関係ないっていつも言ってるだろ。月山なんか、腹違いの弟にくれてやる。僕は星さえいればいい」 「一緒に暮らせば、私になどすぐに飽きて、後悔なさいます」 「どうして、そういう考えになるかなあ…。星、ちょっとここへおいで」 二人がソファに腰掛ける気配がする。 「いいかい、星。僕は400年君と付き合って、飽きたことなんかないよ」 「それは、たまにしか会わないから…」 「そう思う?この1ヵ月、朝も昼も夜も星と一緒にいるけど、僕はますます星が好きになったよ。どうしても一緒に暮らしたくなった」 「だけど…」 「だけどじゃないよ。今、星と引き離されたら、僕はどうにかなってしまうよ。かわいそうだと思わない?」 居間に黎と星が入ってきたようだ。 主夜の姿は、カーテンの陰に隠れて見えないのだろう。 「黎さまこそ、いいかげんにしてください」 星の声にも、いつもの優しさはない。 主夜は二人の言い争う声に、姿を現すタイミングを逃してしまった。 「またそれだ。その呼び方はいけないと言っただろ!何でいつもそうやってすまし顔で、話をはぐらかすんだよ」 「はぐらかしてなどいません。お断りしただけです」 「だから、どうしてっ」 「黎さま、私は男です。まして影の身。どうして月山に行けますか?」 星の語尾がふるえた。 泣いているのだろうか。 「星、月山じゃなくていい。僕は、星の好きなところで、二人で暮したいんだよ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |