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火炎龍と狼(仮) (煌鷹)
第四章:訪問客
 ファイヤードレイクは少し考え込んでいるような表情を見せると、直に溜息を漏らした。
 もしファーブニルが自分のことを嗅ぎつければ厄介なことになる……彼は左手を固く握った。

 二人と別れてファイヤードレイクは自室に入った。随分と空けたままだった部屋は少し埃っぽい。出掛け直す準備をしていると、入室許可を求めるのも忘れてスレイプニルが部屋に飛び込んで来た。
 「兄上、兄上っ!」
 普段冷静なスレイプニルの顔が蒼白になっている。
 「ファーブニルが……兄上に面会を求めて……」
 「何だと」
 廊下をゆっくり歩いてくる足音が聞こえた。気配を忍ばせることもなく、堂々と近寄っている。ファイヤードレイクは溜息をついた。
 「強行突破したのか、奴らしい……仕方あるまい。話をつけるしかなさそうだ」
 「話?」
 「今までそなたたちにも話していないことがある。恐らくは近いうちに……」
 誰かが戸を押し開ける音で会話が途切れる。入ってきた長身の男は微笑を浮かべながら言った。
 「突然の訪問ですまない。だがおぬしの尻尾を掴むにはこうするしかないと思ってな」
 「少々乱暴な気はしますが歓迎しますよ、ファーブニル。貴方が何を話しにここまで来たのかは分かっております」
 丁寧なファイヤードレイクの話し方にファーブニルは戸惑ったようだった。緊張した面持ちでスレイプニルは主を見上げる。
 「兄上」
 「気にすることはない、スレイプニル……すまないが席を外してくれ」
 スレイプニルが自分を警戒していることに気づいたファーブニルは彼を宥めるように言った。
 「俺は其方の主に何をしに来たわけでもない。神馬の名を持つ者よ、信じてはもらえないだろうか?」
 初めスレイプニルは迷っていたようだったが、大丈夫だ、と主に言われて部屋を出て行った。それを見届け、ふっと笑ったファーブニルが再び口を開く。
 「物わかりの良い部下だな…早速だが本題に入ろうではないか」
 ファーブニルの言い方や態度は気に入らなかったが、ファイヤードレイクは無表情で「どうぞ」と答えた。これから彼が何を言おうとするかは分かっている…寧ろ無駄話で余計な時間を使いたくはない。
 「単刀直入に言わせて貰おうか…ファイヤードレイク。そなたは……ケイオスだな?」
 重い沈黙が暫しの間流れた。


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あきゅろす。
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