War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完 :激昂 十万のローゲン軍。それと対峙するトスキール軍、一万五千。最早、どちらが勝つのかは目に見えていた。 「どうするおつもりですか」 「まずはぎりぎりまで敵を引きつける」 騎士隊を先頭に、トスキール軍は風のように疾走する。帝国軍が見えたところで、一気に右折した。 「このままバイデクルトに向かう!なんとしても、敵に追撃させるんだ」 (もしベーオウルフがうまくやったのなら、付いて来るはずだが……) 「前方、トスキール軍主力。我々には気付いていないようです……西に向かっています」 「バイデクルトを狙うつもりか」 カリギュラは笑った。この期に及んで、愚行である。この私が、貴様らに付いて行くとでも思ったのか。さて、こういう時なんて言うんだったか……。 「おい、レヴァリー。奴らに気付かれないように敵の横を並走しろ。包囲網を張る」 分隊を出発させ、あとはゆっくりコスクへ向かうだけである。 「オペレーションビシージャー、発動!」 「なぜだ……!?」 敵の主力は全くこちらへ来る気配がない。むしろ、そのままコスクへと進軍している。 「正規軍との戦よりも、民間人の虐殺を選ぶか!」 フェルドランスは激昴していた。ベーオウルフを信じたのが間違いか? 違う。もしそうだったとしても、こんな事は、軍人のする事じゃない。 「全員よく聞け! 我々は戻って帝国軍と正面から戦う!」 「なりません、将軍殿! ここで我らがやられては……」 「構わん! みんな、バックだ!今なら敵の側面を突ける」 公国軍は再び敵へと矛先を向けた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |