[携帯モード] [URL送信]

War Chronicle of Toskiel(紺碧の空)完
:危機
「あれがトスキールか」
大型戦艦の先端で、彼女は一人呟いた。全く、こんな小国の制圧のためにアルマダまで動員するとは、フューラーシャフトも堕ちたものだ。ふと、本国に残してきた弟の事を考えていると、声をかけられた。
「ネレイデ提督殿。まもなく、指定の座標です」
「わかった。艦隊を左右に展開、湾を封鎖しろ。出港しようとする船は全て撃沈」
「了解しました」
旗艦の左右の戦列艦が一斉に舵を取り、無敵艦隊は大きく広がった陣形となった。コスク湾を封鎖したのである。この様子はコスクからもはっきりと見えた。

「くそっ! あと一歩のところで……!」
「これじゃあ、港を出ようがありませんね」
「アルマダだ……輸送艦隊を呼び戻せ。作戦を練り直すぞ」
ラインハルトは足早に埠頭を去った。冗談じゃない。こんなところで死んでたまるか……。
「どこへ行く、レオナルド」
「公王さん!探してましたよ」
「一体何があったのだ」
「それが、港を封鎖されちまったもんで……」
「それぐらいの事で狼狽える、レオナルド・ラインハルトなのか? お前の才能があれば、これしきの包囲網、突破して見せろ」
「わ……わかりました! お任せください」
先ほどとは違った気持ちで、司令室に入る。やはり、公王陛下は立派なお方だ。俺様の才能をよく理解している。


[*前へ][次へ#]

3/5ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!