こねた やってみたかったファンタジーもの 死ぬのだと分かった。 ――我は新たなる力を求める者―― 致命傷を喰らったのだ。 ――汝、力を持つ者よ―― その上駄目押しの一撃が首に当たったのも感じた。 ――我が名に宿る契約のもとに、今ここに汝を召喚する―― 戦いの中で死ぬのは武士としては本望だが、生きることに未練はあった。 ――我が名は、秋人・アミティア・サーランド―― だから突然包まれた真っ白な光の中、俺は差し延べられた手に手を伸ばしたのだ。 ――ねぇ君、僕に力を貸してくれない?―― ……暖かいその手は力強く俺の手を握った。 ドラゴン・サマナー 「ヤッター!しょーかんせいっこーっ!」 「みぃーっ!」 目を開くと見知らぬ場所に居た。 見たことのない様式の部屋にゴチャゴチャと物が積み上げられている。 俺の座っている床には細かく精密な紋様が描かれていた。 先程声を上げたのは目の前にいる赤髪の男とその横に浮かんでいる銀色の物体だろう。 その物体は球体に三角の耳と長い尻尾をつけたような形で、眠たげな目の男とは逆にやけに釣り上がった目をしていて口はへの字だ。 その額についてる紫色のV字と相俟って、俺を殺した男みたいで忌ま忌ましい。 「えーっと、ちゃんと通訳の術式も入れたから、多分通じてると思うけど、こっちの言葉、通じてるかな?はじめましてー、僕は秋人だよ。君の名前は?」 「俺は……伊達、政宗だ」 「おお!ヤハヌ風の名前だね!ってことは君はヤハヌ地方から来たのかな?この村はヤハヌに縁深くってヤハヌ風の名前の人ばっかりなんだよ。僕の師匠もねぇ、」 「……俺は何故ここにいる。此処はどこだ」 よく分からない話をする男を遮ってそう聞くと男は目を丸くする。 「え、あれ?召喚の契約について知らない?えっと、こういうときはどうするんだっけ、ミーミィ?」 「みー」 「うーん、ミーミィもわかんないかぁ。しょうがない。ちょっと待ってねー、政宗」 そう言ってウィンクをした男はすぅっと息を吸い込むと口の横に手を当てて大きな声を上げた。 「しーしょー!まごいちしぃーしょぉーっ!えまーじぇんしーえまぁーじぇんしぃー!」 「喧しいぞ、秋人。そんなあほらしい大声を上げられては我等の品位が疑われる」 凛とした女の声が響き、部屋の隅の階段から人が下りてくる。 その姿は妙な着物を着てこそいるが見知った人物だった。 「お前は!?三代目、雑賀孫市か!?」 「いかにも、私の受け継いだ名は孫市・サイカだ。我等ヤタガラス一派頭領の名は異界にも響いているのか。それでこそ我等だ」 「な、に言ってんだ……」 知っているはずの人物から紡がれる聞き慣れない単語に困惑する。 俺の知っている雑賀孫市じゃ、ないのか? 「……しかし秋人。また厄介なのを召喚したな」 「厄介なのってどうゆーこと、ししょー?もしかして僕、なんか失敗しちゃった?」 「恐らくな。……そこにへたりこんでいる男。少し身体を見させてもらうぞ。『我が星は全てを見る』」 孫市が片手を突き出してそう言うとその手の前に床に描いてあるのと似た光の紋様が浮かぶ。 その紋様を暫く眺めたあと、孫市は口を開いた。 「秋人、お前はとんでもないことをしでかしたな」 「えっ、ししょー、僕何しちゃったの!?」 「今ここにあるその男の身体はお前の魔力で出来ている。ドラゴンを体内に入れられたアミティアの血筋に宿る強力な魔力があるからこそお前は生きているが、我等ヤタガラス一派の召喚師でもそんなことをすれば半分は命を落とす」 よく分からないが、孫市のいうように今の俺の身体が赤髪の男の力で出来ている身体だとすれば、負ったはずの傷がないのにも頷ける。 「それにこの男はこの世界と召喚の契約を交わした世界、パラミティアから来たのではない。本来なら『世界の法』の違反者として罰せられるところだな。だが我等にとっては救いなことにその男は既に死んでいる。法の適応外だ」 「えっ、てことは政宗ってユーレイ!?」 「我等に教えを授かった召喚士は数多居れど、これ程までの問題児は秋人、お前が初めてだ。いっそその運命を誇るといい」 よく分からない内容だったが、一つだけ、俺にも分かったことがあった。 「俺は……やっぱりあの時死んだのか」 「そうだ。だから我等はお前を元の世界に送還することはできない。私の不肖の弟子のせいでこんなことになってしまって済まない」 孫市が秋人とかいう男の頭を掴んで共に頭をさげる。 「……No problem.元々俺は死んじまったんだろ?それに、今からここが俺のnew worldってわけだ。上等じゃねぇか!秋人!アンタが責任取ってこの俺の第二の人生、楽しませてくれよ?」 「うん、僕がんばるね!よろしく、政宗!」 召喚された時と同じく差し延べられた暖かい手を取って、今度は俺から強くその手を握った。 このあと秋人の幼なじみの巨乳女子かすがが出てきたり、ミーミィが擬人化して耳しっぽ付き三成になったり、秋人のご先祖アミティアとその兄がしたことが明らかになったり、政宗に秋人への恋が芽生えたり、恋敵の佐助が現れたり、秋人の身体の秘密がヤタガラス一派を一度潰したマオウ派の召喚師の口から明かされたり、秋人の母親がマオウ派だったり、変身した秋人が政宗と共に呼び起こされたドラゴンと戦ったりする話。 探したらこんなゲームありそう。 [*前へ][次へ#] [戻る] |