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好きになってしまったんだ【HQ・影日】
「…ひっぐ…うぇ…」

日向は泣いていた。

「…かえっ…やまぁ……」

紡ぐ名は、恋人の影山。

「…だめ……影山は、自分の…道を選んだんだ…泣いちゃ…だめ」

影山は影山自身の輝ける道に発ったのだ。

いつまでも影山を自分の檻の中に入れてはならない。

しかし、どう抑えても涙は止まらない。




*
「…日向…好きだ。付き合ってくれ」

そういう唐突な告白から始まった。

日向自身も影山のことを愛情の目で見つめ、思い続けていたので、あっさりと受けいれた。

日向は、影山が見せる隠れた優しさや、いつも完璧なトスを上げてくれるその指先が大好きだった。

影山もまた、コロコロの変えるその表情と太陽のように明るい笑顔を見るのが大好きだった。



それから2人は激しい化学変化のように関係を進め、今や烏野の5本指に入る程の仲睦まじいカップルとなった。



全ては幸せだった。



*
そんな関係が崩れたのは、高校3年の、秋。


「…俺、プロリーグの推薦がきた」

「…そこに受験する」

「…え」


そして、残酷な言葉が紡がれる。



「……もし受かったら、東京に上京する。…数年は帰ってこない」



「……そ、んな…っ」

影山のそのズバ抜けたセッターとしての才能が見出だされ、推薦がかかったのだ。


「…嘘、だよね?嘘って…言ってよ!!」

「……もう、決めたことだ」

「いやだよ…!!」

日向は影山に泣きながら抱きつく。


そして、気づいた。



影山も泣いていたのだ。


「………ひなた、ひなた……!!」

「………っ…ぁああぁあぁああぁあぁ!!」


2人は膝から崩れ落ちる。

本当は影山も辛かった。
でも、好きなバレーが続けられるのなら。
バレーの夢が叶うのなら。
そう思い、推薦をした。


日向なら、大丈夫だと思って。


涙枯れるまで泣いて泣いて泣き続けた2人は。

「…思い出、たくさんつくろう」


*
それからの時間、2人はそれまで以上にくっついて過ごすようになった。

離れることを忘れるために、楽しいことで埋めつくそうとした。

離れることを全く気にしていないようだった。

*
3月。期限が訪れる。

2人は「いつも」の部屋にいた。

しかし、2人の手には「いつも」とは違う、卒業証書があった。

「……卒業か」

「…なーんか、あっという間だったなぁ」

「……おい、どうした?」


「……あ、れ、おかし…いな、な、なみだ……が…ひっく」

思い出される、あの日。
影山が宣言した、あの日を。


影山は日向を抱き寄せ、耳元でぽつり。


「大丈夫、もう少しの辛抱だ」


「う…うえぇええぇ…!!」

________だから、待ってろ

*
4月。

「くぅーっ!!気持ちいい!!」

日向は受験で合格した、大学の前に来ていた。

もう、そこには一番乗りを競っていた影山の姿はいない。

でも。

「…待ってろ!影山!」

影山が待っていてくれるなら。

「よぉっし!いくぞ!」

日向は前に、進み出した。

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あきゅろす。
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