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打ち捨てられた地



―ザァン

波の音が、耳の奥でこだまする。

「アリネス殿、起きてください」

「……っ、クロエ?」

目を覚ますと、クロエが微笑んでいた。


「ここは?」

俺が聞くと、クロエは眉をひそめた。

「ジェイによると、遺跡船の地下深く、らしいです」

「すごいな、」

地下深く?遺跡船はこんなものまであるのか。
はい、と頷くクロエに俺は顔をしかめた。
「シャイロでいい。それに敬語はよせよ?なんか、アリネス殿とか痒いから」

俺があはは、と笑えばクロエは少し恥ずかしそうに承知した、と頷いた。




「ねぇえっ!!見て見て!!?」

うるさく騒ぐノーマをみんな一瞥するとそっぽを向いた。


「ちょっとぉ!?怒ってんの!?も〜っ!いいから上見てってよ!」

「なんですか、煩いなぁ」

ノーマが真剣にさけんだので、渋々みんな上をむいた。


「「?!!」」

「空が、ないのっ!!」




みんなが驚き、息を呑むのが分かった。
上には空がなく、代わりに階段がたくさんあった。



「……なんだよ、あれ?」

セネルが力なく呟く。

「ヒョォォォォオッ!!!ワレら、ここで爪術つかえるぞ!!」

「嘘っ?!……グレイブ!」

「ギヒィイッ!!」

えぃっ、とノーマがモーゼスにブレスを喰らわす。



「爪が、光った!?」

クロエがノーマにより、興奮したようにモーゼスに近寄る。

「すまないっ、シャンドル!!」

「く、クッちゃん!?うそじゃろ?!」

「散沙雨!!」

「ギヒィィイッ!!」

俺も俺もとみんなが攻撃を続ける。

「魔神拳!」
「氷樹!」

「グホォッ!?」

「じゃ、俺なっ!!いぐぞっ!円尾「やめんかお前等!!!」

「ぃっ!?」


ゴツンと俺らは強烈なげんこつをくらった。

「ワレら……」

モーゼスが恨めしそうに息を切らす。

「大丈夫ですか、モーゼスさん?死ぬんじゃないですか?」

「もーすけ、体弱すぎぃ」

嘲笑うジェイとノーマにモーゼスが拗ねた。

「なんじゃワレら?!はぁ、シの字は男の中の男じゃの。ちゃあんと攻撃を止めてくれよった」

肩を組んでくるモーゼスに、俺は笑顔を貼り付けた。

「あたりめぇだろ!」

嘘だろ。体が震える。

俺はちゃんと技を出した、はずなのに。
爪が光らない。
なんで、俺だけ爪術が戻らねぇんだ。








「ところで、これからどうしますか?」

ジェイの言葉で、みんな一気に現実に引き戻された。


「……どうすんの、クー?」

ノーマがクロエにふる。

「そんなの、私だって分からないさ」

「まず、ここはどこなんだ?遺跡船の地下深くっていっても、よく分かんないな」

「俺もさっぱり分からん。」

セネルの問に、年長者のウィルさえも唸る。





「……そうです、分からないんですよ」


ジェイの言葉に全員が顔を上げた。

「ここはどこなのか?何故ここでは爪術が使えるのか?何故僕達は同じ風景が見えるのか?そもそも、そう我とはなんなのか?」

「……僕達には、分からないことが多すぎるんだ」


ジェイが言い終わると同時に、俺の脳裏に風景が浮かぶ。
真っ赤な所で、いかにも暑そうだ。





「……なぁ、もしかして」


俺が言うと、みんな頷いた。
なんだか、みんな同じ気持ちで嬉しくなり、笑みが零れる。



「なに笑ってんだよ?行くぞ?」

セネルの呼びかけに、おぅ!!と言い、駆ける。









………これが、仲間なのかな。









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