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敵のち仲間?
「あづい〜〜」
死ぬ〜と唸るノーマの頭を小突く。
「ノぉーマ、俺だってあちぃよ〜」
「ロロ〜、あたし死にそうだよ」
暑い〜と俺に寄りかかるノーマを、クロエが殴る。
「おい、ノーマ。言いながらくっつくな」
「なによクー?あ、何、やいてんの?」
「そうなのか?クロエ?」
俺が聞くと、クロエが違う!!と顔を真っ赤にした。
げらげら笑っていると、美人なグリューネさんがうふふと笑っていた。
「クロエちゃんはセネルちゃんが好きなのよね〜〜」
「ぐ、グリューネさぁぁあんっ!!!!」
「女性陣はさわがしいですね」
「?プラス、シャイロだろ?」
僕がぼそりと呟くと、セネルさんが不思議そうに笑う。
あ、しまった。
「そ、うでしたね」
何故みんな気づかないんだろう?
あんなに女性らしいのに。
……なんか、恥ずかしいな。
「シの字じゃろ?アイツが女じゃったら理想なのにのー」
バカ山賊の発言に何故かイラッとした。まだ彼女を警戒しなければならないのに。本当に、この人達はお人好しすぎる。
「……馬鹿じゃないですか?」
「性別が変わるわけないだろう?」
「モーゼス……」
「な、なんじゃあワレら!?そがぁな冷たい目して!」
モーゼスさんの声が煩く響く。
少し笑いを堪えながら、僕らは足を進めた。
「うわっ?!」
なんだ、コレっ!?
セネルとクロエがクリスタルに触れると、いきなり、白くて四角い物体が現れた。
「なんだコレは?!」
「遺跡船、か?」
ウィルとジェイがううんと唸る。
みんな、困惑しているようだけど俺はそれどころではなかった。
違う。俺は、もう一つ見たんだ。
煌髪人の男女が、海の中で手を握りあう。すると、当たりが光り輝く。
よくわかんないけど、確かに幸せそうだった。
「どうした?……シャイロ?」
クロエが俺を覗き込む。
大丈夫、とクロエの帽子を押さえるとクロエが顔を赤らめた。
「……早く進むぞ」
セネルの声に、少し驚いた。
そそくさと進むセネルに話し掛ける。
「セネル、クロエが好きなのか?」
「なっ?!」
頬を赤く染めるセネルにあははと笑う。
「俺はメルネスだと思ってたよ」
「……シャーリィは、大切な人だ」
セネルが複雑な顔をした。
微妙なライン、か。
「……二股はよくないぞ?」
「馬鹿かっ!?……クロエは、相棒だ」
少し誇らしげに笑うセネル。
「……いいな、そういうの」
「相棒、か?」
不思議そうに目を丸めるセネルに苦笑い。。
「ああ。……だってさ、お互い認め合って、背中を預けられて、大切な存在なんだろ?」
「……ああ。お前はいないのか?」
「……俺には、そんな奴いない。」
呟いてしまった。
言うつもりなかったのに。
「……ごめん、忘れ「いるじゃないか。」セネ、ル?」
「前は分からないけど、今は俺達がいるだろ??」
「っ!?……お前、馬鹿か?」
「な、なんでだよっ?!」
心底不思議そうに俺を見るセネルに頬が緩む。
「……お前、天然だな」
「……なんだよそれ」
俺が笑うと、セネルも楽しそうに笑う。
ほんとに馬鹿だなぁ。
「俺は、ガドリアの騎士なのにな」
俺が呟いた瞬間だった。
「伏せろ!!シャイロ!!」
突然閃光が走ったと同時に、セネルが俺に覆い被さる。
「なんだ、コレっ!?」
目の前にはすんごくデカい魔物が。
「こ、これはっっ!!?ゲートかっ!?」
伝説の魔物!!と興奮するウィル。
こんなに興奮したとこ初めて見た。
「あれがゲートなんかぁっ?!聖爪術ぅぅぅっ!!」
ヒョォォォォオッ!!と槍を構え、投げるモーゼス。
「ちょっと!?もーすけっ!??」
ノーマの声が、戦闘の合図となった。
「アイスウォール!!」
「氷樹!」
「むっ!ファーストエイド!」
「助かる!」
「ブラッディハウリング〜〜」
「孤心!!」
「連牙弾!」
「はっ!」
アイツが通る度に熱が広まる。
どうやら火属性のようだ。
みんな技を決めているが、無理だ。
通常攻撃しか、できない!!
「決めろ!シャイロ!」
みんなの力で、ゲートは瀕死で気絶状態。
技の一つキメたら、先頭は終わるだろう。通常攻撃をするが、二刀流の穴。
構えるまで、隙ができてしまう。
その時、運悪く目を覚まし、しっぽを回そうと構える。
「っ、円尾!!……くそっ!出ろよ、円尾!!」
ヤバい!!
そう思い、ぎゅっと目を瞑り身構える。
「苦無!!」
「……あれ?」
ジェイの声と共に、ゲートが消えた。
直ぐに反応したジェイが、仕留めてくれたのだと納得。
「ちょっと、大丈夫?!」
ノーマが駆け寄ってきた。
「ん、ごめん……」
顔を上げると、みんなが周りにいた。
嬉しくて、頬が緩む。
「笑ってる場合じゃないですよ……」
ジェイが呆れたように俺を一瞥する。
「あ、ごめん。ありがと、ジェイ」
へらっと笑うと、ジェイが違いますよ、と眉間にシワを寄せる。
「なんで、黙ってたんですか?爪術が使えないこと」
いきなり本題をつかれた。
ジェイの綺麗な瞳は俺をしっかりと見据えている。
「……忘れてた」
「はぁ?」
「だから、言うの忘れてたんだ!」
完全に疑うジェイに、本当だ!!と無理を言い続ける。
自分を馬鹿だと実感した瞬間だった。
「……冗談じゃありませんよ。あなたのせいで、仲間が危険な状態になったんです」
気をつけて下さい、と呟くジェイに頭を下げる。
これは、へこむなぁ。
「……ごめん」
「……まぁ、無事だったからいーじゃん!」
ぽん、とノーマが俺と肩を組む。
「ああ、取りあえず帰るぞ」
セネルは俺の前で目を細める。
「こがぁな所、ずっといたら駄目になるからの」
「もう駄目じゃないですか」
「止めんか2人ともっ!!」
「あらぁ〜、みんなでピクニックかしらぁ〜〜?」
「……グリューネさん、ピクニックに武器はいりません。……シャイロ?」
佇む俺に、クロエが手を差し出す。
俺は、ここにいていいのか???
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