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力を失った者達




「ぁ〜……」





体がダルい。
なんか、体中の全部の力がなくなったみたいだ。

「ちょっと、大丈夫ですか?シャイロさん?」

みんなの中でも一番ヤバい俺を見かねたジェイが、声をかけてきた。



「……ああ。なんか、力がでねぇ」

「……みんな、様子が変なんですよ。これも、メルネスの「爪術が使えないよ〜っ!!」


ジェイの言葉を遮り、ノーマが大声で叫んだ。

「はぁあっ!?」

爪術が!?
有り得ない!!だって、爪術って生まれつきだろ!?

「本当ですか?!ノーマさんっ!!」

目を見開き、ノーマの肩を揺らすジェイ。
「そうなのよ〜!ブレス使おうとしても全く出ないのぉっ!」

ほら、とファイアウォールを唱えるけど何も出ないことに俺は顔が青ざめた。



「っ、浮雲!!」




ジェイは技をここみるが、何も出ない。ましてや、爪さえも光らない。





「な、なんで!?」

そう口にした瞬間、メルネスの言葉が俺の頭をよぎった。


―貴様らには、そう我の力を持つ資格などない



「まさか、メルネスがそう我の力を奪った?」


「……まさか、!」

ジェイは俺を見て、うぅんと唸る。


「大変だ!街の人達はみんな爪術が使えなくなったらしいぞ!!」

ウィルが息を乱しながら駆け寄ってきた。


「えぇっ!!?爪術士、全員?!」

うそぉ、とその場にへたり込んだノーマの頭を撫でてやると、へらっと笑った。



「俺、もかな?」

「当たり前じゃん!ロロも爪術士なんでしょ?」

「……煌爪術、ですか?」

ああ、とジェイと目が合う。さすが、不可視のジェイだな。

「何だ?それは?」

疑問符を飛ばすウィルとノーマを一瞥して、口を開いた。






「……空、の力」





俺が呟いた瞬間だった。
ぐんぐんと意識が、空に上がっていく。
そして、空の果てになにかを見た。



「っ!?」


説明ができない、景色。
あれは……

「……灯台?」


ウィルの呟きに、ジェイとノーマが過剰に反応を示した。


「ウィルさんもですか!?」

「えぇっ!?ジェージェーも?!」

灯台?
そんなもの、ウェルテスに?
……あ。



「灯台の街、ウェルテスか」


俺の呟きにウィルはああ、と頷いた。
あとは皆、暗黙の了解。
俺達はすぐに灯台に向かった。





「あれ?セネセネにクーじゃん」

「みんな、見えたのか!」

「ええ。不思議ですね、ここにいる全員が見えたなんて」

ジェイがふぅんと灯台を見上げた。


「あ、モーゼス!」

「おおぉっ!ワレらも見えたんかっ!!?」
俺が両手をふり、手招きするとモーゼスが俺に飛びかかってきた。

「うわっ!!?」

俺は瞬時に避けると、モーゼスは、見事灯台に激突。



「ギヒィィィィッ!!!!!!?」

「バカ山賊……」

見事にモーゼスの雄叫びが響く。
え?つーか、モーゼスは??
灯台をみると、扉が開いていた。




「……行くか」




セネルの声は、迷いがなかった。





中に入ると、外見からしたらあり得ない光景があった。


「すっげぇ!」

「なんだ!?ここは!?」


みんな無意識に中心に集まる。


「こんなものがウェルテスに!??」
ウィルが興奮しているのを横目に、俺はノーマが気になって仕方なかった。


「な、ノーマ?さっきから何してんだ?」
「……見てわかんないかな〜?トレジャーハンターとしての血が騒いでさ〜」

装置をいじくりまわすノーマに寒気がした。

「おい、ノーマ!?」

セネルが止めることも虚しく、爆音が響いた。







「シャボン娘ぇぇぇえっ!!!!」



モーゼスの憎しみを込めた声を最後に俺達は意識を失った。








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