NARUTO
参
温かくて気持ちが良くて、気付いたら瞼が閉じていた。
真っ暗な世界をナルトはただ真っ直ぐあるいているのが見える。
遠くからは小さな明かり。
それが近付いてくると障子だと分かり、更に近付けば人影が二つ。
腕を引っ張っているシルエットが見えて、ゆっくりと障子を開ける。
見た光景に息を呑んでしまった。
『――・・・っ』
それは開けた浴衣で膝をつき、背後からサスケが腕を引っ張っている光景。
それは情事をしているものだった。
『──・・・うぶっ!』
現実に戻ったのは息苦しさで。
けれどはっきりと思い出す光景に信じられず、浴槽に寄り掛かった。
『あー・・・冗談にしちゃきついって』
引き攣り笑いを浮かべながら髪の毛をかきあげた。
大きな水音を立てながら浴槽から出た。
『今日は厄日だから早く帰って寝よう。』
それが一番良いに決まってる。
そう決めたらサスケから衣類を借りようと着替えた。
『まあこれでも良いけどよ。でも・・・』
下着が無いのは辛いな。
一人虚しく呟いた。
あとは帰るだけだからノーパンでも良いだろうと。
それに余りサスケと一緒に居ない方が良いだろうし。
『サスケー』
サスケの気配が感じられず、家の中をあるくが部屋の中まで入れないナルト。
反応も気配もやはり無くて、このまま帰ろうかと踵をかえした。
『さーすーけー。もう帰るからなー、風呂ありがとー。』
身体の中心を気にしながら歩くも風の通りがダイレクトに伝わってきて、違和感が強い。
外から見える夕焼けを見ながら呟いた。
『まあ・・・だろうな』
昔からサスケは俺を嫌ってたから、姿を見たく無いのは当たり前か。
俺がサスケに近付くのを禁止されてるのは、会ったら殺したいぐらい嫌われてるからなんだろうな。
前は嫌われていてもサスケに拘ってた。
サスケは俺のライバルだと決めて、秀才と言われてた奴に負けたくなくて
サクラちゃんの事でもそうだった。
幼すぎて、けどその時は本当に必死だった。
必死でサスケを連れ戻そうと
サクラちゃんを不安にさせたくなくて
けど、今はきっと──・・・
茶の間の縁側の柱に寄り掛かっているサスケを見付けた。
『いた』
近付いて眺めると、サスケは寝ていた。
こうやってしっかりとサスケを見たら、嫌なぐらい整った顔していて羨ましい。
『さーすーけーさーん』
四つん這いになって同じ目線になって覗き込んだ。
『風呂と洗濯機ありがとな。あと服貸してな。おやすみ』
とりあえず言ったから帰ろうと立ち上がろうとした時だった。
『んにっ?!・・・んむっ 』
突然手首を掴まれて奇妙な声をあげた。
がくん、と後ろに引っ張られそのまま倒れかければ、唇に柔らかなものがあたる。
『ん、ん・・・サッ、スケ・・・あっ』
訳も分からず瞳を動かせば、寝ていた筈のサスケの瞼が開きナルトを見ていた。
離れようと身体を動かし、名前を呼ぶも
強く抱きしめられた。
『ちょ、サスケ離れ・・・っ』
密着した身体をどうにか離そうとした時、夢を思い出してしまい俯いた。
「ナルト」
『ちょ、ちょっと待てってば』
思い出したら恥ずかしくなってきて顔を上げる事が出来ない。
今のこの状況すらもナルトからすれば恥ずかしい。
「顔上げろ」
『だからちょっとまっ・・・なにす、ふっ』
顎を掴まれてもなお拒絶すれば、無理矢理上を向かされてまた口づけられた。
温かく濡れたものがナルトの口腔を割って入る感触に目をみはった。
何故サスケとキスをしているのか分からなくて
ただ頭の中が混乱した。
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