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NARUTO



場所は変わり


火影室へ向かう途中のサクラの背後から、先程のクノイチ軍団が声をかけた。


【サクラ先輩!】


『なあに?』


立ち止まり振り向くと、一人のクノイチが前へ出た。


【サクラ先輩、サスケさんが自由になるのって何ですか?】


『それを聞いてどうするの?』


【サスケさんを自由にしてあげたいんです!】


【それをしなければ敷地から出れないだなんて可愛そうです!】


自分達が思っていることをそのままサクラへ伝えると、短いため息をはいてクノイチ達をみた。


『無理よ。それを決めるのはサスケ君次第だから。』


とだけ伝えると、サクラは火影室へと向かった。


仲間達はどうすればサスケが自由になれるかを知っていた。



『まったく、綱手様も人が悪いですよ』


【なんの事だ?】


サスケ君の事です、と返せば綱手は苦笑した。


【そうかい?】


『そうですよ。もし箍が外れてナルトが大変な事になったらどうするんです?』



【サクラ、ナルトにだってもう跳ね退ける力がある。回避しよう頭もあるだろう・・・まあ、」酷くならないと思いたいがな。】


サクラにとってサスケもナルトも大切な仲間だからこそ、不安でたまらなかった。


変に話せばナルトは勘繰り面倒になるのをしってか、大雑把に伝える事しか出来ない。


『ナルト・・・』


どうしてか、今日はナルトの事が心配になってしまう。


【お兄ちゃん助けてくれてありがとう!】


岸にたどり着いて犬を先に降ろしてやると、女の子は涙を流しながら仔犬を抱きしめた。


その姿をみて胸が暖かくなり、うれしくなった。


そして自分も岸へあがろうとした時だった。足に痛みがはしった。


『いっ、てぇ!・・・わぁっ!』


【お兄ちゃん?!】


痛みが強く無意識に手を足へやってしまい、ナルトは川の流れにのってしまった。


【おにーちゃーん!】


女の子の視界にナルトの姿が消えるのは早かった。



ついてねぇ、今日の俺マジついてねえ!


頭の中で悪態つきながら再び岸へ身体を向ける。


『・・・っく』


先程の救出で結構体力を消耗したのと、昨日までの任務疲れで力が無くなってきていた。


『・・・はあっ、はぁ、はあ・・・っ』


なんとか岸へ上がれば直ぐに大の字になり荒れた呼吸を整えた。


『も、まじ今日は厄日だ・・・っ』



呼吸が整えば痛んだ足を見ようとズボンを捲り上げる。


筋肉を解さずに川に飛び込んだせいだろうと、数回脚を揉んでから立ち上がる。


『気持ちわりぃ。』


見渡せば知らない森に流され着き、濡れて肌に張り付いたシャツが気持ち悪く眉間にシワを寄せた。


上着を途中まで脱いでシャツを脱ぎ水気を絞る。


『あー風呂こいしーっ!』


さっさと帰って風呂!と決め込んで川を下り、歩き出した。


それを見ていた誰かが舌打ちした音が耳に留まる事もなく。


【――・・・チッ】



脱いだシャツを振り回して歩くナルトだが、それがぴたりと止まった。


『・・・いやいやまさかよ』


良く耳を澄ましたら、ナルトの額からたらりと嫌な汗が流れ、表情が強張っていた。



『今昼間だから絶対無い!』


正面から聞こえて来る低い声が、引き返せと言っていたからだった。


怖い話とお化けが大の苦手なナルトからすれば、例え悪戯でも怯んでしまう。


『俺はそっちに行きたいんだって・・ばぁぁぁぁっ!』


ずん、と目の前に現れた全身白い着物と青白い顔に、真っ黒な髪の毛をした男性が現れた。

ぬっ、と伸びた手はナルトの首に向かった。



『いーぎゃぁぁぁっ!』


大粒の涙を零し逃げ出した。

がむしゃらに走れば違う所からも出て来て、ナルトは叫ぶ。


『家に帰りたいーっ!!』


必死になって逃げていくと、明かりが見えてきて気付けば姿が無かった。


森さえ出られれば後はなんとか帰れると思い急いだ。


『――・・・何処だ此処っ』


見慣れない景色や建物に首を傾げた。


『人の気配が無い』


あちこち崩れた建物ばかりで人の姿も気配も無い。


もしかしたら里の外に出たのかと思うが、高い塀が見当たらなかった事を思い出した。


濡れたシャツを持って上着を着て建物を見上げた時、ナルトは目を丸くする。


『まさかここって』


うちは一族のマークを見て、ナルトは綱手の言葉がこだました。


【ナルト、お前は当分サスケと会う事を禁ずる。】


会ったらいけない、と思えば何故か急いた気持ちに襲われた。


しかも自分がサスケの゙鍵かもしれない゙と


『くそ。走ってばっかかよ』


サスケがどんな状態で、どの術が使えるのかさえ知らないナルトは

ただ気配だけを消して立ち去ろうとしたが、服が後ろへひっぱらさった。


『ひ・・・っ、いやいやまさかよ』


さっきの集団なのか?

青白い顔に真っ黒な髪の毛に真っ白な着物



頭の中では先程の事が走馬灯のように浮かび、大きな蒼い瞳はじわりと潤む。


「・・・おい」


『あぎゃぁぁぁっ!さっさと成仏しやがれぃ!』


肩に触れられた瞬間ナルトは勢い良く離れ、手は螺旋丸をだして振り向いた。


『――・・・あ?サ、スケ・・・?』


振り向いて相手を見ればサスケと分かり螺旋丸はプシュウ、と音を出して消える。

サスケは表情を一切変える事無く、視線でナルトを上から下まで眺めていた。


「ずぶ濡れだな。」


『あー・・・川に入ったから』


簡潔に告げると、自分の恰好を思い出す。

サスケは黒い浴衣を少し着崩していた。


「風呂入ってけ」


『いや、家で入るからだいじょ・・・おわっ!』


大丈夫、と言いたかったのにサスケに服を捕まれ引っ張られた。


しかも自分が居た場所は、サスケの自宅前という事に脱力する。


(やっぱ今日はついてねえ)



サスケの家に入るとそのまま風呂場まで運ばれた。

「そこら辺にあるの勝手に使え。洗濯機使うならあっち」


『うん。ごめんなサスケ。風呂借りる。』


ゆっくり浸かりたかったが、今はシャワーを浴びれるだけマシと思い服を脱いで洗濯機をまわした。



浴室へ入ると浴槽から温かそうな湯気が立っている。


それに気付いたナルトは目を大きくさせて、シャワーを頭から浴びた。


『お湯お湯ー』


全身の汚れを落としながら浮かれているナルトが、ちょっとした事に気付いたのはお湯に浸かってる時だった。


『・・・サスケも入る予定だったのか?』



それか終わったのかもな。


と気楽に思いながら浸かっていれば、疲れからか目がとろん、としてきた。


『やべ、眠くなってきた。』


早く出ないとまた溺れる


頭でそう思っても身体は中々動かなかった。




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