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NARUTO


サスケが任務に出てからもう七日が経った。

こんな事は何時もの事なのだが、綱手は不思議に感じていた。

「今回の任務ならこんなに日数は掛からないと思うんだがな・・・」

「きっと引き止められてるんですよ。」

シズネの言葉に綱手は首を振る。

「ナルトは鈍いから分からないだろうが、あいつはナルトの為に何時も早く切り上げてくるだろ。」

「あー・・・そうでしたね。」

じゃあどうして今回の任務は長くなっているのだろうか。

あのサスケが捉えられるような事なんて無いし、ましてや深手を負う事も無い。

そんな事出来るのはナルトしかいない。

綱手は疑問に感じつつも届いた手紙に目を通すと、目を丸くした。

「――・・・なんだこの催促は!」

目を吊り上げて手紙を握りしめながら机を叩く。

「綱手様!?」

突然の事にシズネは駆け寄り、握っていた手紙をそろり、と抜き取り読み取ると額に手を当てて俯く。

「・・・サスケ君」

そう呟いたのはシズネ。

「帰還したらナルトと共に休ませろって・・・」

あのナルト馬鹿め!

憎たらしくてもう一度机を叩く綱手。


何でもナルト優先のサスケ。

そんな事を知っているのはこの里ではほんの数人しか知らない。

以前ナルトとの休暇中に緊急の任務が入り、サスケに向かってもらった時ときたらそれはもう思い出しても震えてしまう。


ナルトが気付いていないのを良い事に、裏では随分と腹黒くどす黒いのだから。


綱手の心労も半端ではない。


「・・・と言っても、いつ戻るのかも分からんのに休暇など入れられるか。」


くしゃくしゃになった手紙をゴミ箱に投げ捨て、お茶をのんだ。



今日も朝から風は冷たく、ナルトの身体は丸まったまま外を歩く。

サスケからもらった手袋をしても、マフラーをしても寒さにはもう勝てない。

子供の頃の自分が凄いな、とここ数年思うようになった。

『新しいストーブ買わなきゃなー・・・』

もう随分と使ってるから温まるのにも時間が掛かって仕方が無い。

電気店の中に入って新しいストーブを眺めるナルトに店員はナルトにお勧めな商品を教えてくれた。

「寒がりなお前には本当はパネルヒーターがいいんだが、しょっちゅう居ないとなるとこっちのがいいぞ。」

『ずっと温かいならなんでもいいよ。』

「パネルにするなら工事しないとなんねえぞ?」

それなら任務で居ない時に頼んで貰えばいい。ましてや安全なパネルヒーターなら尚更だ。

見積書を貰って今度は工務店に足を向ける。

ナルトは遂に寒さに耐えきれず、家をリフォームする事を決めた。

もう今の家も随分と古くなった。けれど引っ越しをしようとも思えないし、住んでいるのも今ではナルトしかおらず、隣の家も買い取り広くしようとしていた。


それがこんなに時間が掛かり、しかも冬になろうとは思いもしなかった。


サスケと同棲する、というのもあったのだが、彼はあの家を大切にしているし、自分もそれは同じだった。

家族が確かに暮らし、唯一残っている物だから。

『サスケは何時帰ってくんだよ・・・』

いい加減寂しい。

しゅん、とした気持ちを抱えてしまうと、キバが言った言葉を思い出してしまう。

―ーサスケに温めてもらえばいいだろ

その本人が中々帰ってこないのだからどうしようもない。

それに、サスケはきっと自分が抱きついたら速攻で剥がしてしまうだろう。

『俺の人間湯たんぽは使えねえな。』

寒い時にいないし

温まりたいのに剥がされるし

くっついていたいのに何時も居ない。

『そんなんじゃ浮気すんぞ・・・』

電気毛布買うからな。

電気カーペットも買ってやる。

毎日ぬくぬく三昧だ!

ナルトは爪先を変えて店に向かおうとすると、その足が空を蹴った。

『・・・はれ?』

なんで進まない?

頭の中で疑問が浮ぶなか、腹に感じる違和感に視線を向ける。

『・・・て?』

誰の手だ。

下がっていた目線は上に向かうと、大きな瞳が見開かれた。

『サスケ・・・』

「お前、誰と浮気すんだ」

サスケの冷めた眼差しと言葉に、ナルトの喉はひゅうとなった。

『それ、人じゃ無くて・・・っ!』

誤解を解こうとしたが言い終わる前にサスケはナルトを抱えたまま飛び出し、どこかに向かった。

『ちょ、サスケ誤解!誤解だからっ!』

「――・・・後できいてやる」

あ、終わった。

ナルトは彼の顔をみて直ぐに硬直した。

これは相当怒らせたな、と。

普段から表情がないぶん、その空気がとても重苦しくてたまらない。

ナルトは何も言わずにただ言葉の順番を頭の中で考えた。


辿り着いたのはサスケの家。

そのままナルトはソファーに降ろされ、すぐさまサスケの手を掴んだ。

『電気毛布とカーペットだよ。』

「・・・なにがだ」

任務から帰って来た途端、偶然にもあんな言葉を聞いたサスケは苛立ちしかない。


『くっついても直ぐ離れんじゃん。』

「で。」

まだ聞く耳を持っていてくれる事に安堵するナルトはそのまま言葉を続ける。

『ストーブ古くて寒いし。サスケ居ないし。』

「それで電気毛布とカーペットと浮気すんのか」

『くっついても直ぐお前が離れるって事思い出したから。』

それはそれで悲しいものがあるが、ナルトだって寒いのを口実にサスケにくっついて甘えたい時がある。

「暖まったらすぐ眠くなるのが悪い。」

『そ・・・っ』

そんな理由で離されてたのか

意外過ぎる言葉にショックを隠し切れず、ナルトは茫然とした。




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あきゅろす。
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