NARUTO
3
確かに暖かくなったら眠たくなる。けれどそんなのは人間の本能なのだから仕方が無い事だ。
『食べたら眠くなるのと同じじゃん!』
「お前の場合はそのまま朝までだろうが。」
呆れ顔を浮かべたまま溜息をつくサスケにナルトの返す言葉が見つからない。
去年サスケと付き合うようになり、初めての冬だった。
寒くてナルトは巻物を読んでいるサスケを、寒いからと言って背後から抱きついたまま朝を迎えた事があった。
他にも、隣に座りながらテレビを見ている時、くっついたまま朝を迎えた事も。
「しかも任務じゃなかった日にだ。」
『・・・だってサスケにくっついてるとなんかいーんだもん。』
唇を尖らせながら不貞腐れ声で言葉を返すナルトに、彼はぶにっ、とその唇を抓む。
「お前が起きてるのは、身体を重ねてる時だけか・・・?」
『・・・っ』
耳元でそっと囁くサスケに、ナルトは彼の吐息にくすぐったさを感じて肩を震わせる。
『それは・・・だって・・・』
顔を真っ赤にして瞼を伏せるナルトの姿を見て、サスケは瞳を笑わせ、手を離した。
「ナルト、お前に土産だ。」
『・・・お土産?』
急に話が変わりサスケが持っていたリュックの大きさに目を瞠った。
『・・・随分パンパンでない?』
「ああ。最近の任務先で珍しい物がある所ばっかりだったからな。」
また巻物や野草とか薬品とか持ってきたのか。
「寒がりなナルトにもいいやつだ。」
『まじ!?』
その言葉に食いつくナルトに、サスケは巾着の中から小さな小瓶一つを取り出した。
『・・・綺麗なピンク色してんね』
「ああ。それは身体が暖かくなるやつだから後で呑んでみろ。」
うん。満面な笑みを浮かべてサスケにお礼を告げるが、サスケの瞳が妖しく光っていた事には気付かなかった。
「他にも食べ物とかあるが・・・それは俺が作ってやる。」
『俺作るよ?』
今では料理も出来るようになり、その腕前はかなりのものになっていた。
あのインスタント食生活をしていたとは思えないぐらいにナルトは違う所でも成長していた。
「配合もあるからお前は食えばいいだけだ。」
それなら素直にサスケに作ってもらった方が得策だろう。
「ナルト、風呂入って来い。」
身体冷えたままだぞ。そう促してナルトは風呂に向かい、サスケはというと
「・・・誰のためだと思ってやがる」
ウスラトンカチが。
サスケはまだある物をしまいにナルトが知らない秘密部屋へと向かった。
灯りをつけると研究所並の器具や薬品などが綺麗に整頓され、作業台にリュックを置いて中身を取り出す。
寒がりになってしまったナルトのせいで、サスケは頭を悩まされていた。
まさかあんなにダメだとは思わなくて。
あちこちの任務先で珍しい物や貴重な物を採取し、増殖すらするようになってしまった。
全てはナルトの為に。
そして、快適に出来るように、だ。
「まずはこれからだ・・・」
ナルトにならこれが一番効き目があるのかも知れない。
物をしまうとサスケはリビングに戻った。
普段と変わらない時間。ただそこにナルトがいる。
サスケも風呂に入り、その間にナルトはサスケの洗濯物をして。
そして夕食はと言えば、何もない冷蔵庫に食糧なんてものは無く、影分身を出して調達をするという。
便利に使い過ぎだと綱手や仲間達には何度も怒られるが、寒い時にはこれが一番なのだから仕方が無い。
熟年夫婦のようにナルトは家事をこなし、サスケはそのまま報告書を制作し、ご飯が出来上がる頃には彼の仕事も終わった。
二人ののんびりとした時間は全ての家事が終わった時。
どさりとサスケの隣に腰かけテレビを見るナルトに、サスケは頭を撫でる。
「おつかれ。」
『・・・ん。』
頭を撫でられているだけなのに、ふわふわとした気持ちになり、ほっとしてしまう。
飼い主に撫でられる動物の気持ちってこんな感じなのかな、とナルトはいつも感じる。
気持ち良くて、嬉しくて。
もっと、もっと、と思ってしまう。
「ほら。これ飲んでみろ。」
『おいしい?』
さあ。味なんてサスケには分からないが、匂いは甘い。
ナルトは小瓶をじっと眺めてからサスケに視線を向ける。
『寝たらごめんな?』
「寝る前に言えって」
くすくす笑うサスケをみて、ナルトはコルクを抜いて一口飲むと、続けて飲み干した。
『・・・すこし甘かった。』
「そうか。」
こんなんで身体が暖かくなるのだろうか。
疑心暗鬼しながらナルトは身体の変化が来るまで待ったが、その効果は案外早く来た。
『・・・サスケ、熱くなってきた。』
「よかったな、熱くなって。」
徐にサスケはナルトの首筋に軽く指先を這わせると、ピクリと揺れるナルトの肩。
「朝まで温かいままだぞ」
『・・・っ、そっか・・・っ』
なんか変だな。
いつもと変わらない触れ方で、ましてや普通に触れてるだけなのに身体が変に反応する。
「――・・・。」
サスケはナルトの変化に気付くと、瞳を鋭くさせた。
寒がりなナルトの為に彼がした事。
寒がりな故に、ナルトと身体を重ねる場所がベットだけで、しかもオプションは責めるサスケには辛い羽毛布団が掛かっている事。
媚薬は使い過ぎると効き目が無くなったり、本来のナルトを楽しむ事が出来なくなるのが嫌で、サスケは天然成分で出来た安心安全で、しかも自我を保ちながら身体が暖かくなる薬を作った。
全ては寒がりなナルトとベッド以外で楽しむ事が出来るようにと、そんな私情を挟みまくったサスケは書物を読み漁り、良いものがあればあちこち任務に出かけていた。
『サスケ・・・ちょっと暑い』
「一枚脱いだらどうだ?」
そう言いながらサスケはナルトのパーカーに手を伸ばして脱がす。
少し頬の色が可愛らしいピンク色に染まり、綺麗な青い瞳はトロリとしてきた。
『あ、ちょっと寒い・・・ぎゅーして』
両手を伸ばすとサスケの肩に回し抱きつくナルト。
背中に手を回し、サスケはナルトの首筋にキスをした。
たったそれだけでナルトは更に抱きしめる腕に力を入れてしまう。
久しぶりに感じるサスケの体温と感触に、身体の中が熱くなってくる。
「・・・もうか?」
『・・・っ!』
サスケの言葉にナルトは羞恥に染まる。無意識とはいえ己の下半身を彼に擦り付けてしまっていた。
『あ・・・っ』
俯くナルトの顎を指先で持ち上げ、そのまま唇を重ねる。
どくり、と胸が強く打ち付けられ、サスケの舌がナルトのを捕え、水音を作った。
深い口付けだけでナルトの身体からは力が抜け、下半身は反応し始める。
何時もなら部屋、と言うのにナルトの口からはそんな言葉は出てこない。
「部屋、行かなくていいのか?」
『ん・・・ここじゃ、だめ?』
潤んだ瞳で、恥らいながら告げるナルトの姿にさすがの彼もくらりとしてしまうが、言葉を繋げる。
「寒いんじゃないのか」
『さっきので温かいから・・・』
ね?
遠慮しがちにナルトの手がサスケの胸元を撫でつけ、指の腹で小さな突起を刺激した。
「我慢出来ないなか?」
『・・・ん。』
できない。サスケの耳元に唇を寄せて囁き、最後は耳朶を口に含んだ。
サスケは薬の配合を間違えたのか、と考えたがこんなにも素直で自分を求めてくるいやらしいナルトをもっと見たかった。
「手、そっちじゃないだろ」
『ふ、あ、や・・・やだ・・・っ』
何時もなら肩には暑苦しい羽毛布団があったのに、今は何も重みを感じないし、暑さも感じない。
寒い寒いと言って腹にタオルケットを巻いている姿すらなく、綺麗なナルトの媚態がサスケの眼前に広まっている。
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