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NARUTO
その手 その指 乱す吐息 R18

今日も来るのだろうか。ナルトの朝はこの憂鬱から始まり、時間が近付けば身体が重たい。

ここ数日前から始まった事が、ナルトは相談出来ずにいた。

出来る訳が無いのだ。まさか自分が──・・・

(・・・どうしよう)

今日は少し遅らせたと言うのに、尻に触れて来る手がいやらしく撫でられる。

『・・・っ』

通勤ラッシュではあるが、どうして男である自分が痴漢にあわなければならないのか、不思議で不快だった。

脚が震え、閉じようとすれば揺れに合わせて相手の脚が割り込む。

『・・・・・・っ』

ナルトは自分が痴漢にあって初めて女性の苦しみや悲しみを知った。

勇気を持って止めさせなければならないのに、出来ないもどかしさ。

電車が止まり、人の乗り降りがあればナルトは奥へと押される。

『・・・っ、あ・・・っ』

むにゅり、それはナルトの性器を下から揉まれて出た声だった。

スカートではなくズボンだからこそ直接触られはしないが、いい気分ではない。

『こ、いつ・・・っ!』

誰かに見られているのかも知れない。それはナルトを羞恥に駆り立てられ、視線も忙しなく動く。

瞼を強くつむって、じわりと出て来る涙を堪えて。


「ナルト、顔色悪くね?」

『・・・人酔い』

クラスに着くと机に突っ伏すナルトに、友人であるシカマルが声をかけた。

そんな姿を彼は見下ろして頭を撫でる。

「通勤ラッシュだかんな。」

『あー・・・うん』

だけじゃない。そう言えればどれだけ楽な事だろうか。

いくら親しくとも言えない苦しさはあるが、聡いシカマルならいい考えをくれるんじゃないかと思ったりもする。

するけれど、やはり性別が邪魔をしてくる。

「・・・本当に大丈夫か?」

『う、うん・・・大丈夫だって!』

へらりと笑ってみたが、きっと上手く笑えてはいない。

シカマルはナルトの手をとり立たせた。

『・・・シカマル?』

「大丈夫って顔じゃねぇだろ」

誤魔化す事が限界だったのか、そのまま空き教室へ向かった。

「なんかあったのか?」

『・・・軽蔑、しない?』

震えた声にシカマルは目を眇め、ナルトの強張った顔に気付く。

「しねえよ、だから話せ」

『あ、のさ・・・俺、最近・・・っ』

強張りが震えと変わり、喉元に手をやった。

シカマルは落ち着かせようと背中を摩れば、吐息を零すナルト。

『最近・・・その、痴漢、に・・・あって・・・っ』

「・・・・・・あ?」

一気に棘を纏った低い声にナルトの肩はびくりと震える。

やはり軽蔑されただろうか。ナルトは速まる鼓動に呼吸が荒くなった。

「痴漢って、ナルトがか?」

『・・・っ、うん』

冷厳なシカマルにナルトは頷けば、舌打ちが聞こえ俯く。

「どんな奴か知ってんのか?」

頭を振ればシカマルはナルトの肩を抱いた。

「今日もされたか?」

思い出すだけでぞわりとした。

他人に服の上から尻や性器を良いように触られる事に。

何も言えない自分も悪いとは思っていても、そこに付け込まれてしまっているのだから。

「・・・大丈夫だ、明日一緒に行くぞ。」

『でもシカマルの家こっち・・・』

「いいから、甘えとけ。」

きにすんな、頭を撫でられた。

突っ掛かっていたものが取れて、ナルトは気持ちが和らいだ。




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