NARUTO
二
翌朝シカマルと駅で待ち合わせをして電車に乗った。
『・・・こっちは考えてなかった』
「最後尾で角際なら大丈夫だろ。」
私服姿な二人は肩を並べながら他愛のない会話をした。
二人が通う高校は制服はあるが、私服でも許されている所で選ぶのが面倒な時は制服を着ている。
通勤ラッシュではあるが、まだナルト達の所は余裕があった。
『最後尾って、まだこんなに余裕あったんだな・・・』
「殆ど真ん中辺りに集中するからじゃねぇの?」
確かにナルトもそこら辺で乗車をしていた。
おしくらまんじゅうをしているようで、時々揺れで爪先を踏まれたり。
ナルトは気が緩んでいたが、それは直ぐに散漫した。
『・・・っ!』
尻に触れてくる手の感触に、ナルトは身体を強張らせた。
「こうやって触られんの?」
『なっ、何やっちゃってんの?!』
相手はシカマルで、悪びれた様子は無くナルトは目を丸くした。
「へぇ、ナルトって触ったら案外柔らかいのな。」
『ちょ、シカマルがやってどうするんだよ!』
さわさわ触れる手は、次第に揉み拉くようになり、ナルトは肩を震わせる。
相手はシカマルだと解っていても、こんな事をされれば驚きと恥ずかしさが生まれてくる。
『ちょ、シカ・・・やめ・・・っ』
「これだけだったか?こっちは・・・?」
するりと下の方へ滑り込んで、ナルトはびくりと全身を震わせた。
『じょっ、冗談はやめ・・・っ!』
「触られたか?」
振り向くとぞくり、としてしまう程鋭い眼差しと、声音にナルトは唇を震わせる。
乗客も増えてきて、ナルト達の所にも押し寄せてきて、ナルトは静かに頷いた。
「・・・ふぅん」
『シカマル・・・も、やめろってば・・・っ!』
涙目で告げても彼の手はゆるやかにナルトの性器に触れてくる。
(何でこんな事すんだよ・・・)
ナルトはただただそれだけが頭の中で支配されていた。
「ほかは?」
『・・・・・・っ』
ふるふる頭を振れば、手はすっ、と離れ頭をぽんぽんとされる。
「これだけで済んでて良かったな」
『よっ、良くね・・・てば・・・っ』
うるりと瞳が濡れ、流石にシカマルもやり過ぎたと反省した。
「悪かったな、嫌な思いさせちまって」
『シカマルまでする事ねえよ・・・』
堪らずナルトは拳で彼の肩をごすっ、と殴る。
「一人の時に狙ってるんだろ、きっと」
『・・・かも知れない』
たまに友人と一緒の時は痴漢行為をされた事は無かった。
かと言って誰かと行くには時間があわない。
明日からどう対策するのかナルトには思い付かなかった。
「当分一緒に行くか?」
『・・・でもそれじゃシカマルが大変でしょ』
見上げて返すとシカマルはくすくす笑っていた。
「別に大変じゃねぇよ、お前が痴漢され続けんのが嫌なだけだ。」
『・・・っ、シカマルってほんと勿体ねえ』
なにによ。羨ましそうに眺めるナルトに彼はただ首を傾げる。
『だってシカマル彼女作らねぇじゃん、モテんのに。』
「いらねぇもんはいらねぇんだよ」
馬鹿言ってんな。額をデコピンされてナルトは眉を寄せた。
シカマルは先輩後輩からも人気があり、良く呼び出されるのをナルトは見てきた。
それでも彼女を作らず、浮ついた噂も聞きもしない。
聞いてもただ面倒くせぇだの、合わすのが面倒だのと、とにかく面倒だと言う。
面倒を避けたいタイプがこんな事を言うのだから、少なからず自分に対して面倒ではない。そう自己解決をしてしまった。
嬉しくて、ナルトは頬を緩めて笑んだ。
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