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NARUTO
十一

宿題も何時もより格段と早く終わり、お掃除サンバの設置をやり、庭に出ていた。


「ほんと面白いよな、玄関道に橋って。」


『なんか涌き水出たみたいで、それなら作るって。』


綺麗な透き通った水は涌き水だった事に驚くが、手に違和感を感じたシカマルはそこに目を向けると、ナルトの手だった。


『先輩こっちこっち!』


「んな慌てんなって」


笑顔を浮かべぐいぐい引っ張るナルトに苦笑を零し、足を進める。


『この小川裏に繋がってんの!』


裏庭もあるのか、と内心楽しみなシカマル。


自分よりも少し小さな手を眺め、自然と笑みが浮かぶ。


『先輩みてみて!』


「・・・すげぇな。池になってんのか」


池が現れ、その中心には東屋があり、そこへ行けれるよう橋ではなく飛び石があった。


『俺時々此処で寝るんだけど、気持ちがいいの。』


「あぁ、だろうな」


柔らかな声と瞳に、ナルトは見せて良かった、と実感する。


『・・・ん?ごっ、ごめんっ!』


「あ?んなもん気にしてねぇよ。」


手を繋いでいた事にやっと気付き、ぱっと離してしまうがナルトは耳まで赤くなっていた。


「早く見せたかったんだろ」


『そう、だけど・・・っ』


こっぱずかしい!と声を出して両手で顔を覆った。


「キバと繋いだりすんだろ?」


『しなっ、先輩はする?』


問い掛ければ瞬時にシカマルの表情は嫌そうなものを浮かべ、ナルトはけたけた笑った。


『あっ、あからさま・・・はははははっ!』


「繋ぐように見えないだろうが」


お腹を抱え笑う姿にシカマルは一度ふう、と息をはき

笑みを浮かぷにっと頬をつついた。


「笑いすぎじゃね」


『ごめっ、てば・・・っ』

あーおかし、と沈め二人は飛び石を渡り東屋へ入った。


「いいな、新しい畳の匂いってのは」


『俺も好き・・・ん?』


携帯が鳴りディスプレイを見て表情が引き攣った。


『・・・ネタなんか無いから。』


【いきなりそれは無いってばね!】


母クシナからの電話だった。

【ナルト、あんた全く観察してないってばね?!】


『んなにある訳無いから!全寮制でもないたかが普通の男子校で!』


毎回毎回小説のネタになりそうなのを聞いてくる母に、観察なんてする訳もなく。


【たかが男子校、されど男子校だってばね!】


なんか変わった事は無かったかと聞かれ、ジャージの上着が無くなった事を告げた。


【・・・次はズボンかしら】


『ズボンなんか盗む奴いないからっ!』


あほか、と怒ると母はそんなの分からないってばね!とかえされる。


『もー、今友達来てるからまた今度にして。』


【あら、友達来てるってば?】


『そう、先輩。』


【ナルト、ナイスだってばねっ!】


『はぁ?意味わか・・・切れたし。』


何がナイスなのか分からないが、携帯をポケットに入れた。


『・・・先輩どうしたの?』


「いや、会話が面白くてよ」


口元に手をあて笑いを堪えているシカマルだが、ナルトは会話を思い出し冷や汗が出た。


「男子校のネタって、漫画か小説か?」


『あー・・・しくったぁっ!』


しゃがみ込んで俯くナルトにシカマルは胡座をかく。


「まぁ、ジャンルは絞れるがな。」


『言わない?』


ちら、と上目で見上げるとシカマルの手が頭に伸びる。

「言わねぇよ」


優しく撫でる手と、表情や言葉にナルトはまた顔を隠す。


『母ちゃんは、NLとBL小説家で祖父ちゃんはミステリーとエッチィでイチャイチャシリーズとか知ってる?』


「・・・それ自来也さんのか?」


そう、と告げぎゅっと肩を握る。


そんな人達に囲まれて鈍いナルトも珍しいが、まさか大物小説家と血縁だった事に驚く。


「まぁナルトのお母さんの小説は人それぞれだし、楽しんでるならそれでいいんじゃねぇの」


『先輩・・・平気、なの?』


ゆっくり顔をあげ見上げる姿を見て、微かに瞳が潤んでいるのに気付き、シカマルは一瞬くらりとしてしまう。


「まぁな」


『あっ、あのエッチな小説は18歳未満は読んじゃ駄目なんだよ!』


「親父が読んでたのわたされたんだよ、女心がどうだのなんだのって・・・」


ナルトの顔はみるみるうちに赤くなりじわりと世界が滲む。


『すっ、すすっ、すけっ・・・っ』


「男はそんなもんだ。そう言うナルトだって読んだからそう言えるんだろ?」


どうなんだ?とナルトの手をとり左右に揺らし、意地の悪い笑みを向ける。

『ちが・・・っ、祖父ちゃんが朗読してくるから・・・っ』


「朗読、ね」


思い出しただけで頬に熱が行くのを分かっているナルトは、もう真っ赤だという事に気付いている。


「じゃあ母ちゃんの小説は?」


『──・・・っ』


目を丸くして息を詰まらせるナルト。

「あー、知ってんだ?」


『どんなのかは知らない、けど・・・その、合体出来るってのは・・・っ』


羞恥過ぎて言葉を詰まらせる俯くと、困ったようにくすくす笑うシカマル。


「合体ってなんだよ」


『うー・・・っ』


掴んでいる手を左右に揺するもナルトは反応せず、シカマルは身体を動かした。


「いつまでそうしてんだ」


『うっ・・・わっ!』


ぐん、と引かれ身体は前へ傾くとさっきまで嗅ぎ慣れていた匂いに包まれる。


「んなもんいつかは自分だってする事だろ」


『おっ、俺の場合はネタにされちゃう!』


シカマルの胸元だと気付き逃れようと動かすが、びくともしない。


顔はもう赤いからいいとして、自分の胸の鼓動が相手に伝わってしまいそうなのが嫌だった。


走ったあと見たいに早く動く心臓に、シカマルの体温や香りに


頭がクラクラしてしまう。




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あきゅろす。
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