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NARUTO


始めてから数十分が進んだ頃、ナルトの手が止まる事が多くなった。


『先輩、どっちから?』


「・・・こっち。」


文章を読んでノートに書いた式に指をさすと、ナルトは頷くが頭を掻く。


『こっち?あれ、こんがらがる・・・』


「ナルト、こっちこい」


隣をさすと素直に彼の隣に座るが、違いの肩がくっつきそうな距離は初めてで、気付いた時には緊張してしまった。


「左辺を因数分解してみ」


『因数分解するの?』


シカマルの方をみれば顔も近い事に胸がどきり、としてしまう。


「そう、やってみ」


頬杖をついたままもう片方の指でノートをとんとんと叩く。


『・・・a>0のとき、-a≦x≦2a?』

「つぎは」


一つずつ解いていき、出来上がるとシカマルは頭を撫でた。


「できるじゃん」


『先輩がいなかったら、間違ってた。』


恥ずかしくて顔を向ける事が出来ず、ノートを見ながら返す。


そんなナルトをシカマルはただ微笑を浮かべて眺めていた事に、本人が気付くはずもなく


この感情の変化にただただ戸惑っていた。









カカシの作ったプリントを見て、シカマルの眉はぐっ、と寄っていた。


「カカシのプリント、今まで正解してたのあるか?」


『・・・んー、なんか段々難しくなって間違いばっか』


しゅん、と落ち込んでしまったナルトの肩にぽん、と手を置くシカマル。


「だろうな、ややこしいのが多い」


『先輩分かるの?』


あぁ、と返しプリントを眺める姿にナルトはただじっ、と魅入ってしまう。


何時もと違う雰囲気だからだろうか。


「あいつ態とこんな問題作ってんのか。」


ぼそりと呟いた言葉に首を傾げるナルト。

プリントをテーブルに置いて、シカマルは促す。


「この式は先に何をすると思う」


『・・・不等を変える?』


それしか思い付かなかったが、どうやら違うとシカマルの首は左右に動く。


「カッコを外して移行すんだ。」


『・・・は?』


なにそれ、と大きな目を更に見開くナルト。


「だからややこしいんだ」


『あー・・・もうやだぁ』


テーブルの上に突っ伏して、彼の方へ顔を向ける。


『先輩は頭がいいって、本当なんだね。』


「な訳あるかよ」


羨ましくてシャープペンでつんつんと腕を突っつくが、頭を撫で回されてしまった。


『だって教え方とか上手だし、ゆっくりだし』


「それ、ただたんにナルトがある程度理解してるだけだろ」


でも一人では出来ていないだろう宿題とプリントは、間違いなくシカマルのお陰と思うナルト。


「移行したら次何する」


『両辺を−Tでわったら・・・X<2』


「正解。」


カカシのプリントで一問を5分もかからないで出来たのが初めてで、ナルトは破顔する。


『すげぇ嬉しい!』


「そうか」


それを見たシカマルはくすりと笑い、次へと進むがこれもややこしく、教わっていく。


次第に互いの肩がピタリとくっついていた事に気付いていたのは、シカマルだけだがこの距離から離れる事は無かった。




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