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NARUTO
十二

この状況をどうにかしようと考えてみるが、頭はさっぱり動いてはくれず戸惑う。


『先輩、離して・・・』

「あー、やだ。」

掴まれていた手は背中に回され、ぎゅっと抱きしめられた。


『や、やだって・・・これは相手が違う・・・っ』


違う誰かを想像したら胸は痛く悲しくなってしまい、じわりと瞳が潤む。

シカマルにだけ違う感情が出る事にナルトは何度も戸惑い考えたが、答えが見つからなかった。


「いや、相手は間違っちゃねぇよ」

『・・・はい?』

背中を撫で、そのままナルトの頬を撫でるとふるりと震える。

だがシカマルが告げたた言葉にナルトは思わず顔を上げて目を丸くしていた。


「あー・・・」

気まずそうにがりがりと頭をかき、シカマルはゆっくり顔を動かしナルトの視界に影を作る。

『・・・へ?』

「まぁ、あれだ・・・」


柔らかなものがナルトの唇にあたり、固まっている相手を見て彼は指先で唇を撫でた。


「俺がこういう事したいのはお前だって事だ」

『あ・・・う・・・っ』

かぁ、とまた顔を赤くして言われた言葉が頭の中でぐるぐる回る。


「悪かった。嫌だったよな」

『ちが・・・っ』

立ち上がろうとするシカマルに言葉が出ないナルトは、ぐっと押した。

『ちがう、俺・・・おれは・・・っ』


じっと見るシカマルに上手い言葉が言えずに詰まらせるが、ナルトは徐に彼の胸倉を掴んだ。

『・・・嫌じゃ、ないよ』

「・・・・・・。」

彼がしたようにナルトは仕返した。

それには流石のシカマルも驚き呆気に取られてしまったが、ナルトは恥ずかしくて立ち上がろうと動く。


「おまえね・・・」

『な、わっ!!』


ぐん、と引っ張られるが靴下が畳の目で滑り体制が崩れてしまう。


『な、にす・・・っ』


「それ、俺のいいように取るけど?」

シカマルの腹部を背に寄りかかるように倒れ込んでしまったナルトは、上から覗き込んでいるシカマルに顔を赤くする。


『お、俺良く分からないけど、先輩といると最近なんか・・・変だから』


「どう変なんだよ」


優しい眼差しと声でナルトの顎を撫でれば、視線をそらす。


『・・・心臓が忙しなかったり、する』


「へぇ・・・」


やはり恋愛面ではとことん疎いと実感するが、どう気付かせるかは簡単だった。


「ナルトはお菓子好きだったよな」

『うん、好き。』

「アイスは?」

『好きだけど・・・何でいきなり食べ物の事聞くの?』

突然話題が変わり彼を見上げれば、やはり優しい表情のままナルトを見ていてどきりとする。


「じゃあ、奈良シカマルは?」

『あ・・・そっか』

聞かれてナルトは初めて気が付いた。

この胸の高鳴りも、気持ちの変化も彼だけにしか起きなかった理由が解ったナルト。


『俺、先輩が好き。』


「ナルトがしたのは、俺がいいように取っても良いんだな?」


ナルトはこの時やっと母親の小説を思い出し、理解した。


『い、いよ・・・っ、んっ』


赤く潤んだ目で見上げて返した姿に、シカマルは唇を重ねる。

彼の服をぎゅっと握り、一度離れた唇は直ぐにまた重なり合った。

「ナルト、好きだ。」

『俺も、先輩が好き。』

するりと首に手を回し、ナルトからの口付けにシカマルは腰を抱き、何度も重ね合った。










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