「よし、じゃあやろー!」 「何をどうしろと?」 「カボチャ?」 「そっか、今日ハロウィンなんだね…」 上から順に、骸さん、白蘭さん、ツナと続いて、復活したあたしは、机の上にカボチャ丸々一個をドーンと置いた。 「ハロウィンだから、カボチャオンリーでご飯だよ!」 「嫌ですよ…」 「一品て嫌だな…」 「…(汗」 骸さんなんかストレートに嫌だとか言うし、白蘭さんは遠回しに嫌だだって…。ツナは優しいからそんな事言わないけどね…。 「カボチャはいろんな調理法あるんだから!大丈夫ですよ!さ中身くり抜いてー」 あたしは嫌がる大人二人の前にボールを置いて、くり抜きを任せた。滅茶苦茶顔しかめられたけど; 「ツナはこっちね」 「何するの?」 「お菓子作り」 あたしがニコッと笑ってそう言うと、俺やったことないからっ!と慌てて真っ赤になるツナ。可愛いっ。 「大丈夫、ちょっと手伝ってもらうだけだから!」 「う、うん…」 渋々頷いてくれたツナの頭を撫でて、こっちはこっちで作業を開始した。 *** 「何で僕がこんな事…」 「クフフ…、無様でお似合いですよ」 「その言葉そっくりそのまま君に返すよ骸君(ニコッ」 「クハハッ!マフィアのボスが聞いて呆れますね」 「ボンゴレの霧の守護者がカボチャの中身くり抜いてるなんて笑い物だね」 「それを言うなら──」 「二人とも!口より手を動かす!早くしないと、ご飯食べられなくなりますよ!」 笑顔で言い合いを続けていた二人は愛に遮られてピタリと言い合いを止めた。 「はあ…」 「溜息なら向こうで吐いて下さい」 それから一応、作業を終わらすべく黙々とカボチャをくりぬいていく。 *** 「愛、お菓子作りは得意なんだ…」 「嫌みに聞こえるんだけど、ツナ君?」 「え、いやそんなつもりじゃなくて!」 慌てて否定するツナが可愛くてつい笑ってしまった。ホント、弟が出来たみたい。 「これでおしまい!後はレンジでチンね」 「うん、じゃあ俺やるよ」 「ありがと」 ツナにカップケーキを手渡して、レンジの番を頼んだ。それと同時に、ドンッと置かれたボールに疲れ切った二人が作業を終えたみたい。 「愛チャン、終わったよ」 「これで全部です」 「二人ともご苦労様!」 何だかグッタリしてる二人に笑いかけて、後は休んで待ってと告げる。後は、あたしがカボチャで夕食を作るだけ。頑張らなきゃ! 調理すること一時間半───。 「完成!」 「凄い!」 やっと出来上がったカボチャのみの夕食は、案外いい出来になったと思う。 出来上がった料理を食卓に並べて、さっきくりぬいてもらったカボチャに目と口を彫って、中に蝋燭を立てる。 「骸さん電気消してください!」 「?…」 何でって顔をしながらも言ったとおりにしてくれた骸さん。パチッと消えた電気の代わりに、蝋燭の明かりが部屋を照らした。 「結構綺麗だね、蝋燭も…」 「でしょう?」 「形は歪ですが…」 「骸さん一言多いです」 その日、皆で囲った食卓は、蝋燭に照らされて輝いて見えた。 「結構いけるね、カボチャ…」 「カボチャだけでこんなに一杯料理あるんだ…、美味しい」 「美味しいです」 皆が口々に褒めてくれて、あたしは久々に満腹感を味わえたような気がした。 .... (あれだけくり抜いたもの全部使ったんですか?) (暫くはかぼちゃ祭りですね!) (ということは余ったんだ…) (うーん。暫くはちょっとな…) |