「そう言えば、ハロウィンてお菓子貰えるんじゃなかったっけ」 「ちゃーんと用意しましたー」 ご飯が終わってから、白蘭さんがポツリと呟いた一言にあたしは席を立ち、さっきツナに手伝ってもらって作ったカップケーキを取りに行く。 「はい!」 「「「?!──」」」 最後の仕上げに一人一人変えたデコレーション。我ながら完璧な出来だと思う。 だけど、三人とも目を見開いて固まっちゃってるからつまんないったらない。もしかして完璧って思ってるのあたしだけ? 「ねぇ、いらないの…?」 心配になって聞いてみると、ハッとしたように我に返る三人。 「貰っていいの?」 「貰うも何も、三人の為に作ったから…、いらないならあたしが食べるけど…」 あたしがそこまで言って俯くと、それぞれの前に並べたカップケーキが視界に入る。そして、それに伸ばされた三人の手も───…。 「あ…」 「愛、すっごい美味しいっ俺、こんなの初めて食べたよ」 「ツナ…」 満面の笑みで笑いかけてくれるツナにつられてあたしも笑い返す。美味しいの一言があたしの不安、心配を取り除いてくれた。 「愛チャン、ありがとう…わざわざマシマロ使ってくれたんだね」 「えへへっ」 優しくポンポンッと頭を撫でてくれる白蘭さんに、ポカポカと温まる胸のうち。白蘭さんのお菓子に使ったマシュマロは、美和が特注で用意してくれた高級品だったりする。頼んだ甲斐あったよね。 「……」 そして、あたしがもう片方の隣にいた骸さんを見上げると、バッチリ交わる視線。 「ありがとうございます愛」 「わっ」 骸さんは、今までに見たことないくらいの優しい笑みで、あたしの頭を抱いてくれた。っては、恥ずかしい// 「おい、骸っ!」 「おや、羨ましいですか?」 「なっ」 「ちょっ」 さっきよりグッと引き寄せられたあたしは、骸さんと密着する形になってしまい、余計羞恥心が増す。 「骸君、おふざけがすぎるんじゃない?」 「クフフ…、ふざけてなどいませんよ」 「いたっ、いたたたっ骸さん!」 何なのこの二人!!あたしを使って言い合いしないでよ!!しかも、絞まってる!苦しいっ。 「ほら痛がってるでしょ、離してあげないと愛チャン窒息するよ」 いや、しないだろうけどさ…。 「何を的外れなこと言ってるんですか、君は…」 人のこと言えないよ…! 「い、いいから二人とも離してあげなよ!」 ツナ!君が一番正しい! 両方からグイグイ引っ張られるこっちの身になってみてよっ。 漸(ようや)く解放されたあたしは、深く息をついてから三人に向き直る。 「あたし、三人に出逢えて、ホントよかったっ」 何だかんだしても、言っても、あたしには三人が大切なことに代わりはないから。あたしが改まってそう告げると、三人はキョトンとした表情になってから、頷いて笑ってくれた。 今日はハロウィン─── お菓子を持ってたから やってきたのは 悪戯じゃなくて 温かい笑顔── |