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あれから






あれから、リファはどうなったのだろうか。


黒雲に呑まれ、更に急降下していく。


一向に止まる様子はない。だが、このままだと確実に助からないだろう。


このまま気を失ったまま、今度は死者として再びあの世へ誘われる事になるのだろうか。



一方、下界ではーー。



「さあ願いを言え。どんな願いでも一つだけ叶えてやろう」



そこは、下界とは到底思えない程に不気味で、まるで魔界の神殿のように朽ちた建物だった。


そして、その建物を大地ごと覆い尽くすような巨大な龍が、ある一点の方向をじっと見据えている。


この龍こそが、地球の神やミスター・ポポが言っていた神龍の事である。


そして、神龍の真下に居るのは、小さな生き物とそれに付き従う三人の得体の知れない者達。


恐らくは神龍を呼び出したのは、彼らだと思われる。



「ガーリックJr.さま、ささ!神龍に願いを!」



一人の従者がそのガーリックJr.と呼ばれる小さな男に願いを言うよう促す。


するとガーリックJr.は頷き、両手を天に向かって掲げ、叫んだ。



「永遠の命を!」



彼の願いを聞いた神龍は「容易い事だ」と答え、その瞬間に彼の両眼が赤く光る。


これは、神龍が願いを叶えてくれる時の合図でもある。



「おお…おおおお!」



願いを言った本人、ガーリックJr.の身体から眩い光が現れ、同時にとてつもない風が巻き起こった。


従者達は、その光景を興味深そうにじっと見つめている。



そしてーー。



彼の身体に纏う光と風は消え、何事もなかったように辺りは静かになった。



「ふふ…ふははははは!」



すると、ガーリックJr.は自分の身体を見つめるなり、雄叫びを上げるように不気味な高笑いをし始めた。



「クク…人間どもめ、たった今からこのわたしが世界の支配者だ!」



どうやら彼の妄想と復讐宣言が始まったようだ。


不本意ではあるが、最後まで聞いてあげて頂きたい。




闇の中に潜む

魑魅魍魎(ちみもうりょう)達よ



その呪縛を解きながら

永き忍従の時から甦れ!



容赦なく全世界に

血の雨を降らせるのだ!



わたしは命尽きる事なく

この世界に君臨できる



人間どもよ!

その恐怖は全ての者が

わたしに従うまで

永遠に続くのだ!




「どうわあっはっはっはっ!!」



かなり満足そうな顔で、血のように真っ赤に染まった空を仰ぐ。


それは、これから何か不吉な事を予感させるような、不気味な空だった。


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あきゅろす。
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