[携帯モード] [URL送信]

a man with a double character

 



部室に一人、独り。

冷たい床。


もう、恐怖しか感じない。


私の味方はいないいないいない。

助けてくれる人もきっといない。


寂しい、苦しい、痛い、怖い、恐い。


ああ、酷い

体中の傷が…一日でこんなになるなんて…


ガチャッ


『……』


誰かが来た見たいだ。

人が来たら殴られる。



ま た 殴 ら れ る ?



嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ


「…湖空先輩?」

『…い、や…こない…で……』


来ないで来ないで来ないで

怖い

また痛い思いをしなきゃいけないの?


「大丈夫ですか?」

『……えっ?』


かけられた言葉は心配の言葉だった。

俯いていた顔をあげると


『…ひ…よし…?』

「!?傷だらけじゃないですか!」

『………』

「…はぁ、手当てします。」


驚いた。

日吉が私を心配し手当てをしてくれた事に。

何故?

そういえば日吉は昨日いなかった。


『ねぇ、日吉。』

「なんですか?」

『日吉は昨日いなかったけど…私の噂とか聞いていないの?』

「昨日は委員会がありましてね。噂は聞きましたよ。」

『…えっ、じゃあ…なんで?』


私を軽蔑の目で見ないの?

なんで、私に手当てをしてくれるの?


「俺は実際に見たことしか信じませんよ。それに…」

『それに?』

「湖空先輩はそんなことする人じゃありませんから。だから、俺は貴女の味方です。」


私の事わかっていてくれる人がいた。

味方になってくれる人がいた。

嬉しくて嬉しくて


泣けてきた。

私から出た言葉は


『ありがとう。』


感謝の言葉。


笑顔で言えた気がする。





 

[*前へ][次へ#]

5/7ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!