執事雲雀(完) イライラお嬢 「雲雀ー」 「…」 「雲雀ーっ」 「…」 「返事しろよバカ執事!」「君よりマシだね」 「〜〜っ!」 …僕が返事をしないのには、訳がある。 お嬢があまりにも期待した目でこちらを見るからだ。 お嬢の手元には机と教材、広げられたノート。 手にはピンクのシャープペンシル。 ……どう考えたってさ、 「答え教えてよー」 ホラ、言い出した。 「教えたら君の為にならないでしょ」 「いいじゃん、一つくらい!」 君にとってのひとつって、宿題ひとつ分の事なの? そう問いたくなるくらい。お嬢の一問といえば、百問なのだ。 教えたら、お嬢の為にならない。 「教えないよ。」 僕は憮然とした態度で、彼女の勉強する様を眺めている。 (しかしながらこんな強気な僕だって、お嬢に嫌い!なんて言われたらどうしようもない。仕方なしにいつもポケットにはご機嫌取りのチョコレートが入っているわけで。) 一人分には広すぎるお嬢の自室。光のよく当たる、バルコニー横の窓際で。 「……」 「?」 急に静かになったお嬢が気になって、ふと本から視線を上げた。 「…〜〜〜」 ああ、ものすごくイライラしてるんだ。 片肘を付いて、手で髪をかきあげてる状態。 彼女のクセで、勉強に行き詰まるとすぐにそうやってしまう。 「はぁ…」 お嬢がため息をついたら限界ライン。 勉強やめてもいいですかって合図でもある。 でも、ここで勉強をやめられたら授業で怒られるだろうし、なにより旦那様に僕が叱られる。 仕方ない、か…。 読みかけていたイギリスの怪奇小説に金の栞を挟んで、腰をあげた。 「…どこ?」 「あ…雲雀。…えと、ここなんだけど…」 お嬢が遠慮がちに差したのはグラフの問題。 こんなのが分からなかったのか(成績はいいはずなんだけど)。 「これ、計算間違えてる」 「あっ」 どうやら気付いたらしい。ケアレスミスだし、まぁこれくらいならいいか。 ノートから目を離そうとしたときに、ふと、また目に留まる問題が。 「それと、ここは代入間違い」 「えっ」 「ここも、グラフが読めてない」 「おっ」 「あとこれ、切片違う」 「あらっ」 ………。 いくつケアレスミスしてるんだ。 もう段々、頭痛くなってきた。(決して考え過ぎが原因ではないだろう。) はぁ、こっちがため息をつきたいよ。(もう教えるのやめてもいいですかって合図) でも、さっきより頑張ってノートに向かってくれた。 気分転換に紅茶でもいれてあげようかな、うん。 「あっ、雲雀、どこいくの?」 「ちょっと用事。」 「え、寂しくなるじゃん。他も教えてよ!」 ちょっと不機嫌な、怒ったような彼女の声。 君が「寂しい」なんて言うから、ドアに向かいかけていた足がピタリ、と言う事を効かなくなったり。 仕方なしに他のメイドたちを呼んで紅茶をいれさせる。 もう一問だけなら、勉強を教えてあげても構わないかと思った。 ―――――――――…… 結局は君に甘い僕。 continue… はい、勉強を教える雲雀〜でした!が、 何が何やら……グタグダしちゃいました(ノд<。)゜。 また挑戦してやるぜ! がんばります……。 名前変換ありませんでしたねー……ちとせ様は雲雀と呼びますが、肝心の雲雀はお嬢って呼びます……(´Д`) い、急いで名前で呼ばせますので! ではまた次回! [*前へ][次へ#] [戻る] |