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影で見守るは四華騎士団長
二人が会場に着くと騎士達は一斉に口を紡ぐ
アルティナを見る目は
畏怖、興味、軽蔑、嫉妬
決してイイものばかりではない
有らぬ噂でも聞いたのだろう。怯え、震えている者さえいる
彼女も重々それを承知している
だからこそ堂々と、中央にできた人の切れ目を真っ直ぐ進んでいくのだ


「(この空気が嫌いなんだ…!!)」

「(まぁまぁ。そう言わずに)」

小声で悪態をつくアルティナとは裏腹にヴァイツはこの空気を楽しんでいるようだ
口元が緩んでいる

ようやく部屋の中央
決闘場の様に空いた場所に立つ
無論、部屋を支配するは静寂のみ
ぐるりと回りを取り囲む見物人を見渡すと一斉に下を向かれる


「(今年は団結力が強そうだ)」

呑気に考えていると後方から声がする

「騎士団長たるものが集会に遅れるとはよく今まで騎士団を率いてこれたもんだな!!」

「あれ、か?」

後方を指を指しながら聞く

「聞かれなくとも一目瞭然かと」

「まぁ確かに
それにしても元気だな…
何を食べているんだろう?」

「知りませんよ
本人に直接聞いてください」

「オイ!!コラァ!!
無視して二人で会話してんじゃねぇよ!!てか、第一印象それ!?
貶したんだぞ!?反撃しろよ!!」

「おぉ腹の底から声が出ているな
発声練習でもしているのか?」

「してねぇけど……っ…!!
話がややこしくなるだろ!!
俺は反撃しないのかって聞いてんだよ!!」

「すまない。つい何時もの癖でな
反撃しろと言われても…
私が遅刻したのは確かだ
それに今まで騎士団をよく率いてこれたのかと言う疑いを持たせてしまって申し訳ない
謝罪するばかりで反撃する要素はどこにもない」

「はぁ…そうですか…
ってなぁ!!そう言う事じゃねぇんだよ!!あぁ…もう面倒臭ェ!!
剣を抜け!!アルティナ・ネオ・グランドメイツ!!
貴様に決闘を再び申し込む!!
貴様が負けたらその騎士団長の地位。レイグランド家嫡子
ソヌン・レイグランドが貰い受ける!!!!」

「反撃してみろと言えば次は決闘しろ、か…見ていて飽きないな」

「黙れ!!やるのか、やんねェのか!?ハッキリしろ!!
今こそその偽りの地位、奪い取ってやる…!!」

「そこまで言われれば受けるしかあるまい…
ヴァイツ。皆を少し下がらせろ
あの意気込み様では皆を巻き込みかねないからな」

「了解しました
アル…くれぐれも」

「解っている。切り傷で済ませる」


双剣を構える姿はまさに戦神(イクサガミ)、そのものであった
ヴァイツはとんでもない相手に決闘を申し込んだ彼を少し哀れんだ
彼に勝ち目は無い。万が一でもだ
それが自分が仕えている主だから



戦神の名は伊達にあらず
(医療班…呼んでおこうかな)
(元気な若者じゃなぁ)
(若い力は騎士団の活動力ですからねぇ)
(決闘を巧くかわしたくせによく言うよ)
((お前もな))




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