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陸。 ふたたび


「…どうしよっかな」


その日の午後、架月は一般生徒の人口も少なくなる、生徒会室の近くまで来ていた。
何故そんな場所へ私が足を運んでいるのかと言えば。
あの俺様会長様が全校放送なんぞ使って呼び出したからだった。

まったくどこの暴君だ、
“来なかったら明日の昼飯は俺が貰う”
なんて。
ていうか脅しじゃないか。


なんて放送の内容を思い出してはイライラしながら、廊下を歩いているわけ、だが。
一向にそれらしき部屋が見つからない。
やっぱり梓にでも案内してもらえば良かったかな。
あ、でも梓だって数ヶ月前に入学したばっかだし分かんないかな。


「―――困ったなぁ」
「ん、どうしたんだ?」
「だから生徒会室の場所が―――って、はい?」

ちょ、ちょっと待って。
先にも言った通り、私が今いるのは人が少ないところだ。
こんな独り言をまさか拾われるとは…思ってなかったし、うん、びっくり。


「―――…って、あぁ宮地くんじゃない」
「む…?お前、この前弓道部に来ていた月白、だよな?」
「わ、覚えててくれてるなんて。嬉しい」
「まぁ、その、なんだ…女、だからな」


あぁ、そうだったな。
このセリフだけだと単に宮地くんが女好きみたいなことになっちゃうけれど。
そんな訳もなく。
ただ、珍しい。



「というか、それは俺の方のセリフというか…」
「ん?」
「いや、名前なんで知っているんだ?名乗ったか…?」
「あ、…っと、梓くんから話を聞いていまして?」
「俺に訊くな。
そうか、木ノ瀬か…」
「あは―――」

梓ごめん、そしてありがとう…っ!


「あぁ、生徒会室だったか」
「は?あぁ、はいそうです」

びっくりした、話がいきなり変わるもんだから。
まったく、お菓子好きなのといい話が変わることといい―――女子か!


「ええと、それで、案内お願いできますか?」
「まぁ、実は俺も青空に軽く頼まれていたからな。
むしろ偶然見つかって良かった…こっちだ」

そう言って先へと歩いていく宮地くん。
そうか、頼まれてたんだ。
それならこの辺りにいたのにも理由がつく。
まぁ大方、“部活が始まるまで”という時間制限付きだったんだろうけど。


「―――……っあれ?」
「? なんだ?」
「あ、いや…」

そういえば今日の日付って、何月何日だろう?
あまりにも当たり前のこと過ぎて少しも疑問に思わなかった。
でもまぁ、ここで宮地くんに訊いても不審に思われるだけだし。


「―――ダブルクリームのシュークリームについて考えてました」
「おお、」

ごめんなさい ごめんなさい宮地くん。
馬鹿にしてるわけじゃないんです。
本当に本当ですから。


「そうか、お前もそんなにクリームが好きなのか!」
「あー…まぁ大抵の女子は普通に好きだと思います」


自分の心にいくら弁解しても、罪悪感が募るばかりだった。


そうこうしている内に、頭上に掲げられる“生徒会室”のプレートを見た。
そこで初めて、自分はそう遠くない位置にはいたのだな、と思う。
ていうか、ドアはこんなのなんだ。
スチルじゃ部屋の内部しか描かれてないからなぁ。


「ここだ」
「うん、そうみたいだね。
ありがとう宮地くん」
「あー…その、なんだ。
話がすぐ終わるのならまた教室まで送ってやるが…」

「いや、その必要はない」

「え…あ、不知火会長!」
「…お疲れ様です」


部屋の真ん前で喋っていたのが聞こえたのか。
それともこのタイミングで私達が来ることを視ていたのかは定かじゃないけれど。
ドアの開く音と共に会長は現れた。



二度あることは、



(また、なんて)
(ウソばっかりじゃない)
(所詮それだけの力)

(私の方が―――)



fin.


・・・・・・・・・・・・・・

つなぎ、みたいな。
感じに終わりましたね´`;
中途半端でなんかすみません..



 

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